プレ空き家とは?空き家所有者や空き家再生にとってのメリット・デメリットは?
プレ空き家という言葉はご存じですか?造語というか、おそらく現段階では当社しか使っていない言葉かもしれませんが、いずれ浸透してくることになると思いますので、当社が考え、定義している「プレ空き家」という言葉の意味について、ご紹介していければと思います。
空き家とは?
現代で空き家問題で使われている空き家という言葉は、以下のような意味合いが強いです。
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家
今、賃貸用に出している空き家や売却用に出している空き家というのはどちらかというと、「空き物件」に該当して、近いうちに人が住むために動きが取れている物件になります。また、ニ次的空き家というのは、別荘とかセカンドハウスなど、長期的に空き家になっているものの管理者がいて、こちらも現代の空き家問題には該当しないものになります。
賃貸用でも売却用でも二次的な住宅でもなく空いてしまっている家を、問題視していて、よく空き家問題としてとりあげられています。
プレ空き家とは?
今後増えてくる「プレ空き家」というもの。先に述べた「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」とはまた違った状態を表現しています。特に長崎の空き家の状況にあっている言葉なのかもしれません。大きく違うのは、現在も人が住んでいるということ。その所有者の方が住んでいて生活をしていますが、もし今の所有者が退去した場合、現状では、売ることも、貸すことも、二次的な利用もできないような、将来的に「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」になってしまうような、そんな物件のことを指しています。
実は、当社が空き家再生をして、色々な発信をする中で、直接当社にご相談された方々には、そういった方が多いのです。
プレ空き家のメリット
プレ空き家の状態で相談したりする所有者側と、空き家を再生するための引き受ける側メリットとしては、大きく合わせて3つあります。
1. すでに生活しているため建物の劣化が少ない
プレ空き家の場合は、現状生活しているため、水道や電気といった住宅設備に不具合が生じている可能性が非常に低いです。何か不具合があれば、現場の生活に影響を及ぼすことになります。
また、空き家の劣化が進みやすい原因として、雨漏りやシロアリ被害がありますが、そういったことがもし発生しても、入居をしているため、すぐに気づくことができます。
ここが、空き家の再生できるかどうかという点において、最大限のメリットになります。このプレ空き家の状態でご相談いただく方が、圧倒的に再生しやすく、次世代に引き継ぎしやすくなります。空き家で数年経過しているものというのは、実は0円でも売買できなくなる可能性もあるからです。
特に長崎の場合は、「斜面地から平地に降りたいけど、この家をどうするか決まっていないからなかなか平地にいけない。」ということがあります。
その状態こそ、空き家の引き継ぎを相談するタイミングです。
2. 引き受け価格については直接話し合うことができる
プレ空き家では、現所有者が住んでいる状態で話をすることができます。建物を今後存続していくために、今まで建物において起きたことなどを直接聞くことができます。もちろん思い出しながら教えていただくことにはなりますが、思い出していただく量が多いため、通常の不動産取引において、仲介会社を介して質問するよりも、お互いに効率よく聞きたいことをヒアリングすることができます。所有者の方も、引き取ってくれる方に何かがあっても申し訳ないと考える方も多く、その方がすべてを話すことができるとおっしゃっていただけています。
雨漏り跡があったら、いつ頃あったのか、その後屋根は葺き替えているのか、ひどくなっているか、など細かいヒアリングをすることもできますし、シロアリがいたあとの蟻道についても床が緩くなり始めた時はいつ頃からかなど、被害の進み具合なども聞くことができます。
築年数が40年から50年経過しているということは、新築時から、全く何も手を入れていないということも珍しいため、中古で購入しているなら、入居する際に手を入れている可能性が高いです。
そういった、「所有している間におこった出来事」に加えて、「売買時に前の所有者から引き継いでいる事項」などもヒアリングすることが可能です。
その情報が揃った状態で、お互いに引き受け価格について、直接話し合うことができます。
3. 所有者の今後の生活の見通しを立てやすい
先程「斜面地から平地に降りたいけど、この家をどうするか決まっていないからなかなか平地にいけない。」という状況があるとご紹介しましたが、プレ空き家の段階で、相談をして、引き受けが決まった場合は、そのタイミングで次に引っ越しするところや、今後どうしていくのかという見通しがたてることになります。逆に、先に空き家の引き受け先が決まらないと、なかなか今後の予定がたてられないというのが現実にはあります。しかし、実際に引き受けが決まった場合、買い手としては早くほしいという思いがあるのも事実です。
空き家再生のおこなう方々、すなわち買い手としては、購入が決まったら、ローンではなく、現金購入のため、通常の売買より早く購入することができるため、ご契約の当月にはその空き家を引き受けたいという気持ちがあったりします。それは早く再生して、収益化したいという思いがあるからです。
当社ではここのスイッチ(引き継ぎ)が、所有者の方にとって、もっとも重要と考えています。引き受けの際には、次の住まいをゆとりをもったスケジュールで探しながら、現実的な引渡時期を一緒に考えることができます。
プレ空き家のデメリット
プレ空き家の状態で相談したりする所有者側と、空き家を再生するための引き受ける側のデメリットは下記の通りです。
1.流通しない
プレ空き家は、潜在的な空き家ということであって、現状のポータルサイトに掲載されることは少ないです。不動産会社としても、現状で入居中の物件を販売するというのは、工数(仕事量)が増える割に売れることが少ないので、あまりポータルサイトに載せるご提案はしないのが一般的です。
そのため、潜在的にはプレ空き家は多いものの、流通して人の目にふれる機会が少ないです。
流通しないということは、売却の機会がないということですが、売却に出すということは、不特定多数の方が家に訪れて中をみていくことになるため、所有者の方にとっては負担が増えます。また、買い側としては、室内の荷物が多いと、結局内見しても建物の全容を把握することが難しいため、購入にふみきれないのです。
結局関係する方々みんなの負担が増えて、売買成立もしない。よくない状態が続いてしまうのです。
流通しないというデメリットを解消するためには、そういったプレ空き家をご所有の方は、専門家に相談し直接引き受けしてもらう必要があります。
2.建物の状況を全てみることがかなわない
プレ空き家においては、所有者が実際に生活をしています。生活をする上で当然ですが、ご所有されている家具家電などの家財が家の中にレイアウトされています。タンスやクローゼットも、備え付けではなく、家の床におくタイプのものが多いため、その家財の下の床がどうなっているかなどの確認がとれない箇所がでてきてしまいます。買い側としては、このあたりがデメリットとなることになります。空き家再生にとって、床の緩くなっているところがどのくらいあるのか、またその床が緩くなっている理由は経年劣化だけなのか、という原因を探ることができないのは、後々にリフォーム代が高くなってしまう理由になるので、引き受けの判断ができなくなってしまいます。
当社の空き家再生では、引き受けの段階で、屋根裏から床下を必ず確認するようにしています。しかしそれができないとなると、引き受けに躊躇するくらいです。
まとめ
プレ空き家の定義や、メリットデメリットをご紹介いたしました。あまり、知られていない言葉ですが、当社ではよく使っています。所有者と買い手のそれぞれの立場において、メリットデメリットを知ることで、お互いが歩み寄ることができ、空き家再生に向けてよい取引ができます。
プレ空き家をご所有の方で、今後どうしていくか決まっていないという方は、この機会に、プレ空き家としてご相談されてみてはいかがでしょうか。
お気軽にお問い合わせくださいませ。
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