空き家

長崎空き家再生における現地調査で、やるべきこと12選

今回は、空き家再生のおける現地調査でやるべきことをご紹介していきます。これらをやらないとどうなってしまうのかということをご紹介するので、ご参考までにご覧ください。

長崎空き家再生における現地調査の際にやるべきこと12選は下記の通りです。

 

①屋根裏、床下は必ず確認

屋根裏は押入れの天井が点検口になっていることが多いです。床下は畳を剥がして、野地板をはずして確認することができます。そういった方法で、実際に屋根裏や床下をみてみましょう。天井裏にあったら困るものとして、シロアリの蟻道や、雨漏りの跡、湿気が多いなどがあげられますが、屋根裏を確認することでたくさんの状態を確認することができます。シロアリの蟻道があった場合は、各所の柱や梁を叩いて、音の確認をします。どこかがシロアリによって食べられている可能性が高いからです。また、雨漏りの跡があった場合は、次の項目でもでてきますが、それが今も続いているのか、もう屋根を葺き替えて今は雨漏りをしていないのかによって、工事内容が変わってきます。また、湿気が多いということになると、ご入居者様が生活をしていく上でカビが生えやすい環境になる可能性があるため、事前に確認が必要です。

床下では、湿気の確認と、束が正常に入っているか、梁や柱、床下の根太(野地板を支える角材)が適切な本数と太さで入っているか、シロアリの蟻道がないかというところを確認します。それぞれ、建物の構造部分に関わることなので、一度はご覧いただいた方がよいです。

床下の野地板を剥がしたあと

床下の野地板を剥がしたあと

②シロアリがいた or いるのかを確認

先程の屋根裏や床下の話の中でもあがりましたが、蟻道があるかどうかは物件調査の最初から最後まで常に確認しておきましょう。建物の構造部分にシロアリ被害がある場合、柱や梁の補強をおこなう必要があるからです。

ご参考までにyoutubeショートでシロアリ被害のあった物件のご紹介をしているので、みてみてください。

https://youtube.com/shorts/UUrZoQO1EOs?feature=shared

 

③窓サッシが正常に動くかどうか

窓サッシが正常に動くかどうかを確認しましょう。これは、もし正常に動かないということがあった場合は、サッシのレール部分に何かものがつまっているか、建物が傾いてしまっていて、サッシに負荷がかかり開閉ができなくなっている可能性があります。今では補助金を利用して窓サッシを1枚ガラスから複層式のガラスに変更することもできるので積極的に交換していきたいところではあります。

ただ、補助金も必ず申請が降りるわけではないため、協力会社様に進め方などは確認する必要があります。

 

④天井に雨漏りあとがないか

天井に雨漏り跡がないか確認しましょう。雨漏りあとは写真のように白い天井であれば、茶色いシミになって出てくることが多いです。理由は木材を伝って雨水が落ちてくるので、木材の汚れも一緒にシミとして出てくるからです。雨漏り跡があった場合は、いつから雨漏りしているのか、もう今はないのか、屋根は葺き替えたという情報はないかというのを現空き家所有者に確認したりします。

 

⑤床で抜けそうなところはないか

床は歩いているとミシミシと音がしたり、抜けそうになるような箇所がないかどうかを確認します。そういった箇所があった場合は修繕の対象になります。入居者様からすると、毎日歩くようなところになるので、そのままにすると負担が大きくなってしまいます。床の工事は、野地板まで剥がして板張りをしてその上からクッションフロアを貼るなどの施工方法になりますが、いずれにしても木材からやりなおす必要があるので、気づいたタイミングで工事はおこなうようにしましょう。

天井に雨漏りあとがないか

 

⑥水道が流れるかどうか

水道が流れるかどうかも重要です。量水器がついていて、家の中の水道を捻っても水が出てこないまたは水量が少ないなどがあった場合は、水道管が詰まっている可能性があります。その場合は、水道管自体の交換が必要です。交換の際には、量水器から宅内に引き込む経路が、埋設されていたりすると、その水道管の埋設されているところを掘り起こして、再度埋めるという作業も発生します。作業量が増える分、工事代もあがってきてしまうため、注意が必要です。

 

⑦電気が単相2線か単相3線かどうか

電気が単相2線か単相3線かどうかを確認しましょう。写真のようなメーターの中に記載があります。単相2線の場合は単相3線に変更する必要があります。変更しないと、一度に使える電力量が少なくなってしまうので、現在の家電製品を利用している方が使用した場合、ブレーカーが落ちやすくなってしまいます。空き家再生の場合は、戸建に住む方々が多いので単身というよりはファミリー世帯が多いです。一度にいろんな方が家電製品を気兼ねなく使える状態にしておく方が良いと考えています。

電気が単相2線か単相3線かどうか

 

⑧屋根の状態の確認

屋根の状態は、目視で高いところから確認します。長崎空き家再生の場合は、高低差が多いところが多いので近くの階段をあがることで意外と簡単に目視で確認することができます。屋根が板金塗装で仕上がっている場合は、劣化により穴が空いていないかも確認しましょう。瓦葺の屋根の場合は、屋根がずれていないか、草などが生えていないか、割れていないかを可能な限り確認します。どれも雨漏りの原因となるような状況なので、あらかじめ確認が必要です。

 

⑨汲み取りか本下水か

排水が「汲み取り」か「本下水」かも必ず確認しましょう。汲み取りの場合は、汲み取りをするための便槽や外気に臭いを排出する煙突式の臭突(しゅうとつ)がトイレの外側に設置されているのでそこで判断をします。基本的には本下水につなげたいところですが、土地の全面道路まで本下水がきているのかによって、本下水に切り替えできるかが決まります。そして、本下水に切り替えられたとしても100万円程度かかることを想定して取り組まないといけません。

 

⑩襖や建具の開閉具合

襖(ふすま)や建具の開閉がスムーズにいくか全て確認しましょう。襖や建具については、もし傾きなどの影響で開閉がしづらくなってしまった場合は、その襖や建具の上端や下端を削ることで、再度開閉しやすくなることがあります。また、敷居の部分などに滑りやすくなるテープを貼るのも効果的です。しかしそういった建具調整などで開閉が改善されないほどの状態だった場合は、建具を新調することになりますが、この新調するのが非常に費用がかかります。築40年-50年の建物については、既製品という考えがあまりなく、その場所にあったものを新調しています。そのため、襖や建具を枠から作り直すとなると費用がかかってしまうのです。目安ですが、襖については、1枚5万円〜10万円程度するため、和室が多く何枚も襖があるため、それだけでリフォーム費用が大きく変わってくる可能性があります。あらかじめ開閉をして、痛み具合や開閉のしやすさが改善できる程度なのかを確認をしておきましょう。

 

⑪床がゆるく弱っているところがないか確認

現地調査時、畳じゃないところの廊下や洋室の床はまんべんなく歩き、床がゆるく弱っているところがないか、確認するようにしましょう。床がゆるくなる原因はいくつかあります。

・天井から雨漏りの水が床に落ちて、水腐れを起こす

・重量があるものを長期間おいていたことで床とその下地が経年劣化する

・シロアリ被害にあっている

・床下の湿気があがってくることで、下地から水腐れを起こす

 

主に、水腐れか、経年劣化か、シロアリ被害というのが一般的ですが、その原因がわかっていないと改善されることはありません。なぜその床がゆるくなっているのかということが、その現地調査の状況からわからなければ、所有者の方に確認したりすることも必要です。それでもわからない場合は、修繕する前提で、洋室の床を剥がして調べる必要があります。また、そこで原因の仮説がたてられて修繕したとしても、仮説による原因とは違った原因で、また再発する危険性もあります。洋室の床を修繕することを決めた場合は、再度床を剥がさなくても床下に潜れるように、「床下点検口」を設けるようにしましょう。

【写真】床が剥がれやすくなっているところの原因の調査

 

⑫過去のリフォーム、増改築履歴の有無

過去のリフォーム履歴や増改築の履歴についても確認するようにしましょう。過去のリフォーム履歴や増改築自体が重要なのではなく、「なぜ、リフォームや増改築をおこなったのか」という理由のところがもっとも重要で、確認するべきポイントです。屋根瓦の葺替え(ふきかえ)がされている空き家などは必ず確認するのですが、ほとんどの場合が、「雨漏りが発生したから」という理由です。雨漏りが発生したということは、どの程度のものだったのかということも想定しなければなりません。もしかしたら、雨漏りの際に、その水がしばらく床に垂れている状態で、気付いた頃には床下は水腐れが進んでしまったが、とりあえず屋根だけは葺替えしている。という状況かもしれません。そうなると床下に問題が潜んでいると想定できます。また、屋根は葺替えしていても、費用の関係で、屋根下地の上に敷く防水シートの「ルーフィング」は交換していない。ということも考えられます。例えば下記の写真ではトイレがその物件の築年数にしては、きれいな状態なので、直接ご質問をして確認してみると、「汲み取りから本下水に変更する際にトイレも新調した。その際に壁や床を全部やりかえた」と教えてくださいました。

リフォーム履歴や増改築履歴については、確認する方法はいくつかありますが、まず所有者の方に話を伺いましょう。次に謄本上の面積と実際の部屋の面積がだいたいあっているのかどうか。最後に目視で、築年数と比較して新しい設備やものはないかどうかという順番に確認するのが好ましいと考えています。

【写真】築年数40年〜50年の空き家のトイレとは思えないきれいさ

 

まとめ

長崎空き家再生における、物件調査時にやるべきこと12選としてご紹介いたしました。少なくともこの12つは当社も大切にしているところで、この内容次第でリフォーム内容が決まってきます。また物件調査の段階で、非常に費用がかかるような状況だと、また別の再生方法を検討していく必要があります。現地調査というのは、そのプロジェクトの最初の方向性が決まるほど、重要な役割を担っています。しっかりと確認をしていくようにしましょう。実際に12選以外にも細かいことで確認することはたくさんあります。ご自身のご所有の空き家について、気になる方は下記よりお気軽にお問い合わせくださいませ。

次回はリフォーム内容の決め方をご紹介いたします。

 

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