空き家

長崎空き家再生における現地調査で、やるべきこと22選

今回は、空き家再生のおける現地調査でやるべきことをご紹介していきます。これらをやらないとどうなってしまうのかということをご紹介するので、ご参考までにご覧ください。

長崎空き家再生における現地調査の際にやるべきこと22選は下記の通りです。

 

①屋根裏、床下は必ず確認

屋根裏は押入れの天井が点検口になっていることが多いです。床下は畳を剥がして、野地板をはずして確認することができます。そういった方法で、実際に屋根裏や床下をみてみましょう。天井裏にあったら困るものとして、シロアリの蟻道や、雨漏りの跡、湿気が多いなどがあげられますが、屋根裏を確認することでたくさんの状態を確認することができます。シロアリの蟻道があった場合は、各所の柱や梁を叩いて、音の確認をします。どこかがシロアリによって食べられている可能性が高いからです。また、雨漏りの跡があった場合は、次の項目でもでてきますが、それが今も続いているのか、もう屋根を葺き替えて今は雨漏りをしていないのかによって、工事内容が変わってきます。また、湿気が多いということになると、ご入居者様が生活をしていく上でカビが生えやすい環境になる可能性があるため、事前に確認が必要です。

床下では、湿気の確認と、束が正常に入っているか、梁や柱、床下の根太(野地板を支える角材)が適切な本数と太さで入っているか、シロアリの蟻道がないかというところを確認します。それぞれ、建物の構造部分に関わることなので、一度はご覧いただいた方がよいです。

床下の野地板を剥がしたあと

床下の野地板を剥がしたあと

②シロアリがいた or いるのかを確認

先程の屋根裏や床下の話の中でもあがりましたが、蟻道があるかどうかは物件調査の最初から最後まで常に確認しておきましょう。建物の構造部分にシロアリ被害がある場合、柱や梁の補強をおこなう必要があるからです。

ご参考までにyoutubeショートでシロアリ被害のあった物件のご紹介をしているので、みてみてください。

https://youtube.com/shorts/UUrZoQO1EOs?feature=shared

 

③窓サッシが正常に動くかどうか

窓サッシが正常に動くかどうかを確認しましょう。これは、もし正常に動かないということがあった場合は、サッシのレール部分に何かものがつまっているか、建物が傾いてしまっていて、サッシに負荷がかかり開閉ができなくなっている可能性があります。今では補助金を利用して窓サッシを1枚ガラスから複層式のガラスに変更することもできるので積極的に交換していきたいところではあります。

ただ、補助金も必ず申請が降りるわけではないため、協力会社様に進め方などは確認する必要があります。

 

④天井に雨漏りあとがないか

天井に雨漏り跡がないか確認しましょう。雨漏りあとは写真のように白い天井であれば、茶色いシミになって出てくることが多いです。理由は木材を伝って雨水が落ちてくるので、木材の汚れも一緒にシミとして出てくるからです。雨漏り跡があった場合は、いつから雨漏りしているのか、もう今はないのか、屋根は葺き替えたという情報はないかというのを現空き家所有者に確認したりします。

 

⑤床で抜けそうなところはないか

床は歩いているとミシミシと音がしたり、抜けそうになるような箇所がないかどうかを確認します。そういった箇所があった場合は修繕の対象になります。入居者様からすると、毎日歩くようなところになるので、そのままにすると負担が大きくなってしまいます。床の工事は、野地板まで剥がして板張りをしてその上からクッションフロアを貼るなどの施工方法になりますが、いずれにしても木材からやりなおす必要があるので、気づいたタイミングで工事はおこなうようにしましょう。

天井に雨漏りあとがないか

 

⑥水道が流れるかどうか

水道が流れるかどうかも重要です。量水器がついていて、家の中の水道を捻っても水が出てこないまたは水量が少ないなどがあった場合は、水道管が詰まっている可能性があります。その場合は、水道管自体の交換が必要です。交換の際には、量水器から宅内に引き込む経路が、埋設されていたりすると、その水道管の埋設されているところを掘り起こして、再度埋めるという作業も発生します。作業量が増える分、工事代もあがってきてしまうため、注意が必要です。

 

⑦電気が単相2線か単相3線かどうか

電気が単相2線か単相3線かどうかを確認しましょう。写真のようなメーターの中に記載があります。単相2線の場合は単相3線に変更する必要があります。変更しないと、一度に使える電力量が少なくなってしまうので、現在の家電製品を利用している方が使用した場合、ブレーカーが落ちやすくなってしまいます。空き家再生の場合は、戸建に住む方々が多いので単身というよりはファミリー世帯が多いです。一度にいろんな方が家電製品を気兼ねなく使える状態にしておく方が良いと考えています。

電気が単相2線か単相3線かどうか

 

⑧屋根の状態の確認

屋根の状態は、目視で高いところから確認します。長崎空き家再生の場合は、高低差が多いところが多いので近くの階段をあがることで意外と簡単に目視で確認することができます。屋根が板金塗装で仕上がっている場合は、劣化により穴が空いていないかも確認しましょう。瓦葺の屋根の場合は、屋根がずれていないか、草などが生えていないか、割れていないかを可能な限り確認します。どれも雨漏りの原因となるような状況なので、あらかじめ確認が必要です。

 

⑨汲み取りか本下水か

排水が「汲み取り」か「本下水」かも必ず確認しましょう。汲み取りの場合は、汲み取りをするための便槽や外気に臭いを排出する煙突式の臭突(しゅうとつ)がトイレの外側に設置されているのでそこで判断をします。基本的には本下水につなげたいところですが、土地の全面道路まで本下水がきているのかによって、本下水に切り替えできるかが決まります。そして、本下水に切り替えられたとしても100万円程度かかることを想定して取り組まないといけません。

 

⑩襖や建具の開閉具合

襖(ふすま)や建具の開閉がスムーズにいくか全て確認しましょう。襖や建具については、もし傾きなどの影響で開閉がしづらくなってしまった場合は、その襖や建具の上端や下端を削ることで、再度開閉しやすくなることがあります。また、敷居の部分などに滑りやすくなるテープを貼るのも効果的です。しかしそういった建具調整などで開閉が改善されないほどの状態だった場合は、建具を新調することになりますが、この新調するのが非常に費用がかかります。築40年-50年の建物については、既製品という考えがあまりなく、その場所にあったものを新調しています。そのため、襖や建具を枠から作り直すとなると費用がかかってしまうのです。目安ですが、襖については、1枚5万円〜10万円程度するため、和室が多く何枚も襖があるため、それだけでリフォーム費用が大きく変わってくる可能性があります。あらかじめ開閉をして、痛み具合や開閉のしやすさが改善できる程度なのかを確認をしておきましょう。

 

⑪床がゆるく弱っているところがないか確認

現地調査時、畳じゃないところの廊下や洋室の床はまんべんなく歩き、床がゆるく弱っているところがないか、確認するようにしましょう。床がゆるくなる原因はいくつかあります。

・天井から雨漏りの水が床に落ちて、水腐れを起こす

・重量があるものを長期間おいていたことで床とその下地が経年劣化する

・シロアリ被害にあっている

・床下の湿気があがってくることで、下地から水腐れを起こす

 

主に、水腐れか、経年劣化か、シロアリ被害というのが一般的ですが、その原因がわかっていないと改善されることはありません。なぜその床がゆるくなっているのかということが、その現地調査の状況からわからなければ、所有者の方に確認したりすることも必要です。それでもわからない場合は、修繕する前提で、洋室の床を剥がして調べる必要があります。また、そこで原因の仮説がたてられて修繕したとしても、仮説による原因とは違った原因で、また再発する危険性もあります。洋室の床を修繕することを決めた場合は、再度床を剥がさなくても床下に潜れるように、「床下点検口」を設けるようにしましょう。

【写真】床が剥がれやすくなっているところの原因の調査

 

⑫過去のリフォーム、増改築履歴の有無

過去のリフォーム履歴や増改築の履歴についても確認するようにしましょう。過去のリフォーム履歴や増改築自体が重要なのではなく、「なぜ、リフォームや増改築をおこなったのか」という理由のところがもっとも重要で、確認するべきポイントです。屋根瓦の葺替え(ふきかえ)がされている空き家などは必ず確認するのですが、ほとんどの場合が、「雨漏りが発生したから」という理由です。雨漏りが発生したということは、どの程度のものだったのかということも想定しなければなりません。もしかしたら、雨漏りの際に、その水がしばらく床に垂れている状態で、気付いた頃には床下は水腐れが進んでしまったが、とりあえず屋根だけは葺替えしている。という状況かもしれません。そうなると床下に問題が潜んでいると想定できます。また、屋根は葺替えしていても、費用の関係で、屋根下地の上に敷く防水シートの「ルーフィング」は交換していない。ということも考えられます。例えば下記の写真ではトイレがその物件の築年数にしては、きれいな状態なので、直接ご質問をして確認してみると、「汲み取りから本下水に変更する際にトイレも新調した。その際に壁や床を全部やりかえた」と教えてくださいました。

リフォーム履歴や増改築履歴については、確認する方法はいくつかありますが、まず所有者の方に話を伺いましょう。次に謄本上の面積と実際の部屋の面積がだいたいあっているのかどうか。最後に目視で、築年数と比較して新しい設備やものはないかどうかという順番に確認するのが好ましいと考えています。

【写真】築年数40年〜50年の空き家のトイレとは思えないきれいさ

 

⑬お湯の配管が通っているか

お湯の配管が通っているかを確認しておきましょう。よく、電気温水器やユニエーターなどで水を電気で沸かしてお湯にしている空き家があります。現代の生活では、キッチンも独立洗面台もバスルームも混合水栓といって、ひとつのレバーでお湯と水の切り替えができるようになっています。それは、水の配管と一緒に、給湯器で沸かしたお湯の配管があることで、一つの蛇口から水とお湯がでることを実現しています。もし現地調査の際に、キッチンに電気温水器がついていたり、水の水栓しかない場合は、お湯の配管がきていない可能性が高いです。お湯の配管がきていない場合は、給湯器の新設と、その給湯器からお湯を供給するための配管を新設する必要があります。給湯器新設は、工務店によりますが、製品代と取り付け費用で15万円−20万円程度します。また、キッチンや独立洗面台、バスルームにお湯の配管を加えることが必要になってくるため、追加で費用がかかります。バスルームについては、追い焚き機能付きにするかどうかにもよりますが、お湯の配管は費用が大きく変わってくることがあります。また、水回り設備がまとまった場所にない時で、少し離れているなどの状況だった場合は、配管設置するm数が増えるため、材料費と工費が多くなることがあります。お湯一つで色々と状況が変わってくるため、確認するようにしましょう。

 

⑭洗濯機置き場がバスルーム内か、室内か

空き家によくみられる配置として、洗濯機置き場がバスルームの中に入っていることがあります。メリットとしては、お湯で洗濯物を洗いたい時に、バスルームのお湯をそのまま洗濯機に入れることでお湯で洗濯できるということと、洗濯排水とお風呂の排水管を一緒に使うことができるということがあげられます。この空き家の年代の頃は、合理的で好まれて使われていました。しかし現代では、電化製品が水回りのスペースにあるということで、漏電や感電のリスクがでてきてしまうことと、洗濯機が水に濡れて汚れてしまう、洗濯槽に湿気がたまり、カビやすいなどの問題点がでてきてしまうため、基本的にはバスルームの外で使われるようになりました。現代では洗濯の給水もお湯が出るようにすることが可能となっているので、バスルームの中に設置するメリットがそこまでないという状況になりました。

洗濯機置き場をバスルームの外、いわゆる室内におくことになると、どういうことが起きるかというと、給水と排水、コンセントの問題がでてきます。給水は壁をつたって設置することは可能ですが、排水については、床下を解体したりする必要が出てくるため、排水配管設置のための費用がかかってきます。また、洗濯パンの設置や給水の近くにコンセントも必要です。ただの洗濯機置き場の位置の変更ですが、それを実現するためには色々と気にしなければいけないことが出てきます。設置場所を利便性を高くすることと、それに対する費用を考えて、バランスよく検討する必要があります。現地調査の際には、洗濯機置き場がバスルームの中か、また、バスルームの外にあったとしても、どの場所にあるのかということもよくみておく必要があります。

写真:洗濯機置き場がバスルーム内

写真:洗濯機置き場がバスルーム内

 

⑮脱衣所があるか

この年代の空き家によくみられるのは、バスルームの入り口が廊下の途中にあったり、キッチンの横にあったりと、着替えたりするスペースがないレイアウトになっていることです。現代でよくみられるのは、洗濯機置き場や独立洗面台があるパウダールームなどにランドリースペースと一緒に脱衣所としてのスペースがあることです。脱衣所があるメリットとしては、個室で着替えることができるということ、お風呂からでたときに寒くないように個室を温めておくことができるという点です。空き家の活用方法として、賃貸として貸し出すことは一般的ですが、利用用途としては、民泊や社宅など、不特定多数が利用することも想定しておく必要があります。それらの利用用途で脱衣所がないと、民泊物件、社宅物件としては、致命的なデメリットになってしまいます。また、近年言われているヒートショックの原因を作り出してしまう可能性もあるため、脱衣所があることで、お風呂をあがって、突然寒い廊下となるのではなく、一度個室を挟むことができて、ヒートショック等のリスクを軽減することもできます。脱衣所をつくるには、構造的な部分の見直しが必要になってきます。間取りを取り払ったり追加したりすることで脱衣所をつくることはできるかもしれませんが、その分間取り変更のための費用がかかるでしょう。そのため、現地調査の段階で、脱衣所がない物件だった場合、活用方法として賃貸用で貸し出す方向に進むことが多くなります。コストを抑えて、賃貸用物件にするのか、間取り変更も検討した上で、民泊や社宅用として再生していくのか、全体的なリフォーム予算を考えながらよく検討していくことが必要です。

写真:脱衣所がない。バスルーム出たら廊下

写真:脱衣所がない。バスルーム出たら廊下

写真:脱衣所がない。バスルーム出たらキッチン

写真:脱衣所がない。バスルーム出たらキッチン

 

⑯トイレはウォシュレットか、トイレ内にコンセントがあるか

トイレがウォシュレットになっているか、もしくはトイレの中にコンセントがあるかどうかを確認しましょう。先程「9.」で記載していたように、汲み取りか本下水かを確認して本下水だったとしても、この部分は確認が必要です。現代のトイレでは、ウォシュレットがついていることが主流となっていて、賃貸募集の際の条件のところでも、ウォシュレット付という条件にチェックを入れることもあるくらい、設備としては一般的になってきています。その中で、ウォシュレットがないトイレだと、賃貸物件で他の物件と比較した際に、見劣りしてしまう可能性があります。また、ウォシュレットがついていなかった場合、コンセントがあるかどうかを確認するのは、ウォシュレットの便座の電源をコンセントからとっているからです。コンセントがないトイレでは、ウォシュレットをつける場合、コンセントを新設する費用も発生します。そんなに大きな費用がかかるわけではないですが、見落としがちなので、一緒に確認するようにしましょう。トイレをウォシュレット付のものに交換した後、電源がない。といったこともよく聞きます。リフォーム業者にも色々な方がいます。言われたことのみ忠実に対応される方と、目的意識をもって行動してくれる方と、本当に色々といらっしゃいます。そこに気づいていただけなかったとしてもそれをリフォーム業者さんのせいにするのではなく、全て自分の知識不足が原因と思って、細かいこともチェックしていけるよう、事前に学んでおき、現地調査の際に実践していきましょう。

写真:トイレはウォシュレットか、トイレ内にコンセントがあるか

 

⑰ガスかオール電化か

現地調査にいく空き家が、湯沸かしやガスコンロを、ガスを使用するのか、オール電化なのかも確認しておきましょう。ガスの場合と、オール電化かどうかで、ついている設備が異なるため比較的チェックしやすいところかと思います。ガスの場合は、給湯器を使用している可能性が高いです。また、外部にプロパンガスやガス管が整備されています。そして、室内のキッチンのコンロまたはコンロがあった場所にガス栓があれば、ガスの引き込みがされているということになります。あとは、都市ガスなのか、プロパンガスなのかの違いを確認するだけで調査は完了します。オール電化の場合は、給湯器の代わりに、電気温水器や、電気給湯器という設備が備え付けられています。空き家の場合、ほとんどがキッチン部分はガスで、お湯は電気温水器やユニエーターを利用していたりしますので、電気給湯器を使っている物件は比較的珍しい方だと思います。しかし、こちらの電気給湯器については、壊れていた場合に交換費用が高額になります。ガス給湯器とは比較できないほど、電気給湯器は大きいです。人の背丈ほどあり、幅も90センチほどあります。壊れていたものでメーカー修理で8万円程度かかったことがありますが、交換することになった場合は40万円程度かかるとのことです。これは、ガス給湯器と比べたら大きな費用がかかることになります。

ガスかオール電化かの種別については、物件をみればはっきりとわかります。分かった上で、その電気給湯器が壊れているかどうかを確かめるには、事前に電気の契約をしておき、作動させることで確認することができます。しかし、しばらく使っていなかったこともあるため、最初は使えていたが、給湯温度をあげたり、冬場に使用することで配管の劣化等で壊れることもあります。

IHクッキングヒーターがあるためオール電化と推察

 IHクッキングヒーターがあるためオール電化と推察

電気給湯器は外構部分においてあります。

電気給湯器は外構部分においてあります。

 

⑱給湯器の製造年月

給湯器の製造年月を確認しましょう。給湯器の製造年月は、西暦でわかるような数字で製品表示のシール等に記載されていることが多いです。もしシールに書いてある数字が読めないということがあった場合は、当社の経験上では、少なくとも10年以上経過していると推測しています。給湯器の一般的な耐用年数は、15年から20年。この年数が経過している給湯器は、いつ壊れてもおかしくないという状況です。現地調査後のリフォームの際に一緒に交換しておいた方が、設置コストなどを抑えることができるため、よいです。現地調査の段階で、給湯器交換のコストを見込んでおくことで、全体の予算の中で計算することができます。また、仮に交換しなかったとしても、いずれにしてもいつかは壊れることになるため空き家再生後の活用時に、予算取りしておくことができます。

また、交換の際には、「追い焚き機能付」のものがおすすめです。追い焚き機能付の給湯器の方が製品価格は上ですが、そこまで大きく変わりません。利用する側から考えると、家族で利用する際に、お風呂を焚いて1番風呂から順番に入ると思いますが、最後の人は高確率でお風呂が冷めていることが多いです。こういった家族での生活をイメージする場合や、民泊や社宅利用の際にもそうです。お風呂は最後に入る人も暖かく入りたいものです。給湯器を交換するのであれば、少し高くても追い焚き機能付の給湯器で想定しておくのがよいです。

この給湯器の製造年月は2016年2月

この給湯器の製造年月は2016年2月

 

⑲漏水がないか

漏水がないかどうか確認しましょう。準備としては、量水器がついているのかを事前に確認します。量水器がついていなければ水道局に伝えて、水道料金をお支払する前提で、量水器を取り付けしていただくかという準備が必要です。

量水器がついている前提で、量水器のバルブを開けます。そうすると量水メーターがくるくると回り、室内の水道管に水がいき渡るまで回り続けます。そしてしばらく経過した後、メーター部分がまわらなくなってきたら、まずは漏水している箇所がないと判断することができます。しばらく経過してもメーターがまだ回っていた場合は、トイレをチェックします。トイレではタンクに水が溜まるまで時間がかかるため、溜まるまで水が流れ続ける仕組みになっています。最初はこれで漏水の疑いを持ってしまったことがあります。トイレのタンクがいっぱいになった段階で量水器をみて、止まっていたら漏水はない。回っていたり、少しずつ動いていたりすると、漏水の疑いがあります。

漏水については、床下と壁の中、建物の外壁、地中の配管のどこの配管から漏れているのかということを調査していきます。床下であれば、畳をあげて、畳の下の荒板を外すと、たいてい床下に潜ることができます。床下の配管から漏れているのであれば、その時点で漏れている音や、水が伝ってきていた後があったりするため、発見しやすいです。

壁の中の配管を調べる際には、音が頼りにはなりますが、築40年から50年以上が経過している空き家については、壁の中いわゆるパイプスペースというものが設けられていることが少ないので、壁の中の可能性はあまり高くありません。

建物の外壁取り付けてある配管については、漏れていればすぐにわかります。そしてこの場所の漏水なら修繕もしやすいため、不幸中の幸いということになります。

問題は、地中の配管から漏れていた場合です。こちらの場合は、まず地中の「どこ」から漏れているのかを調査する必要があります。調査した時点でその場所に確証はありません。実際に掘ってみても、漏水箇所でなかった場合、ただ掘って埋めるという作業に費用がかかることになります。こういうことが発生した物件については、費用がどこまでかかるのか読みづらいことがあるため、全体のリフォーム予算を考えながら着手するのかを検討する必要があります。

というのも当社が床下で漏水している物件を購入したことがあり、調査と交換で20万円以上かかったことがあります。こういった費用の積み重ねが最終的な予算を圧迫してくることになるため、現地調査の際は必ず確認するようにしましょう。

量水器がない状態

量水器がない状態

量水器でバルブをあけるところ

量水器でバルブをあけるところ

 

⑳庭木で大きいものが何本あるか

庭木に大きい木が何本あるのかを確認しましょう。庭木は、緑の力で癒しをもたらしてくれたり、目隠しの役割を担ってくれています。必要なところは残しておくことは良いことだと思いますが、利用する方によっては次のようなデメリットも発生するのを知っておく必要があります。

庭木が多いと、蚊などの虫が発生することが多くなります。蚊だけではなく、その他の虫も発生します。築40年-50年の物件で建物の虫が入るような隙間を完全になくすとなると大きな工事になります。そのため、虫が室内に入ってくることもあります。そういった状況を利用者は好みません。場合によっては、伐採して欲しいと管理者に連絡がくることがあります。

その、全てを伐採するとなった時に、それぞれの木が伐採するのにどのくらいコストがかかるのかということを知っておく必要があります。当社では、草と木に明確な基準を設けていて、幹の太さで判断しています。直径3cm以上のものは木で、3cm未満は草として処理できると考えています。実際に電動草刈機で、私含め社員が草を買った際に、簡単にきれなかったのがこの3cm以上の木でした。電動草刈機の先端にある、丸ノコという丸い円盤のノコギリで回転させて切っていくのですが、太い幹の木を切る際は、ノコが反発したりして危ないことがあります。これが目安3cmくらいと定めています。

幹の太さが3cm以上の木の伐採を依頼すると、業者さんによってまちまちですが、1本2万円くらいでみておきましょう。幹が10cm以上となると、1本2万円では対応が難しい場合があります。木を伐採して終わりではなく、搬出しやすいように何度もカットを進めていきますが、幹が太いとその分手間がかかり、費用が上がるということになります。

また、空き家再生後、戸建賃貸として募集をする際には、入居者に剪定の協力を依頼することもありますが、幹が太いと対応が難しくなってきます。また、数が多いと、契約では依頼していても、なかなか対応していただくこと自体が難しくなってしまうことがあります。

全体の予算をみる上では、この庭木の本数も把握しておくようにしましょう。

庭木が多くて草もたくさん生えている例

庭木が多くて草もたくさん生えている例

 

㉑擁壁の種類、水切り穴の数

擁壁の種類と水切り穴の数をみておきましょう。擁壁の種類は大きく分けて3つです。鉄筋コンクリート造、空石積擁壁、練石ブロック擁壁です。この中で注意しなければならないのは、比較的昔からある工法の自然石やブロックなどを積み上げて作る擁壁で、お城の石垣などがイメージしやすいと思います。現代ではこの石垣の擁壁は、危険擁壁というものに指定されていて、新規でつくることが難しいです。石垣の雰囲気をつくりたければ、土台はコンクリートを使用して、装飾として石垣にしていくことになります。

空き家の場合は、この石垣の擁壁が多かったりします。この擁壁の場合、建物に傾きがある可能性が高いため、建物の確認の際にも意識をして確認をするようにしましょう。

また、擁壁に備え付けられている水切り穴というものが、規定の間隔で入っているかどうかも確認しましょう。規定では壁面3㎡以内ごとに、内径7.5cm以上の防水素材の水抜き穴が少なくとも1個取り付けることが規定されています。この水切り穴はよく空き缶やタバコの吸い殻が詰まっていたりするのを見かけたことがあるかと思います。この水切り穴から適切に宅内の地中にある水が流れていかないと、水自体を含んだ土の重みがどんどん重くなっていき、その重さに擁壁が耐えられなくなり、擁壁が崩落するという仕組みです。

擁壁がコンクリートで施工されているものは、この築40年-50年の空き家にはみかけることは少ないですが、そういう施工がされている空き家というのは過去に傾きが大きかったり、擁壁が一部崩落しているなどの可能性があるため、購入前に調べてみましょう。

擁壁_水切り穴の数と所在が確認できない

擁壁_水切り穴の数と所在が確認できない

 

㉒室内の傾きの程度と原因

室内の傾きの程度とその原因を推測していきましょう。室内が傾く原因はいくつかあります。地盤沈下、基礎の経年劣化によるもの、擁壁の劣化など、まずは傾きの原因を探って、それ以上傾かないものなのか、これ以上傾く可能性があるのかという線引きでみていきます。擁壁の劣化などの場合は、最悪の場合崩落するという結果を想定しなければならないため、これ以上傾く可能性は多いにあります。傾いた時期ですが、空き家になってから傾いたということであれば、荷物を入れ出したら傾きが悪化することもあります。この原因だった場合は、慎重に調査をする必要があります。これ以上傾く可能性が低いというものは、基礎の経年劣化やシロアリ被害など、土地の上での出来事で傾いている場合です。その場合は、その劣化している箇所を補強したり、その沈んだものを上にあげることは非常に難しいため、その傾いた状態から水平レベルを探して、新たに床を施工していくということになります。

家の傾きについては、3/1000〜6/1000の傾きが許容範囲とされています。空き家の場合は、この6/1000を採用することが多いです。1m進んだところが、6mm落ちているということになります。3m進んだら、1.8cm沈んでいるということです。これは水平器等で測ることができるため、念の為測れるように道具を準備していくのがよいでしょう。

空き家再生とは、最終的に人に住んでいただくことで初めて実現すると当社は考えています。そのため、この傾きについては、許容範囲を超えた傾きがある空き家については、慎重に調査をすることにしています。再生しても人が住めなければ、再生する意味がなくなってしまいます。特に、寝室が傾いていると、人体に悪影響を及ぼす可能性があるため、傾きは修繕する前提で全体の予算等を考える必要があります。

 

まとめ

長崎空き家再生における、物件調査時にやるべきこと22選としてご紹介いたしました。少なくともこの22つは当社も大切にしているところで、この内容次第でリフォーム内容が決まってきます。また物件調査の段階で、非常に費用がかかるような状況だと、また別の再生方法を検討していく必要があります。現地調査というのは、そのプロジェクトの最初の方向性が決まるほど、重要な役割を担っています。しっかりと確認をしていくようにしましょう。実際に22選以外にも細かいことで確認することはたくさんあります。ご自身のご所有の空き家について、気になる方は下記よりお気軽にお問い合わせくださいませ。

次回はリフォーム内容の決め方をご紹介いたします。

 

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