空き家・古家投資、始めはDIYでやらない方がいい5つの理由
空き家・古家投資をおこなう際に、最初からDIYで進めようとされる方々もいらっしゃいます。空き家・古家はDIYで工事は可能です。メリットもあります。しかし、当社としてはあまり推奨しておりません。空き家・古家投資を始める上で、最初からDIYで取り組まない方がいいと考えているのには、はっきりとした理由があります。その中で代表的なものを6つご紹介していきます。これから空き家・古家投資をDIYで始めようとされている人は是非参考にしてみてください。
空き家・古家投資をDIYで進めるメリット
空き家古家投資をDIYで進めるメリットについて、簡単に触れておきます。
まずなんといっても費用が安くすむため、収益性を上げることができるという点がみなさん興味を持っている点かと思います。
あとは、DIYで工事をやっているうちにDIYスキルが経験値として身についてくることだったり、自分で全て作ったという達成感が得られることもあります。DIYで空き家古家投資を始める方は、比較的こういった、自分自身でなにかものをつくる「モノづくり」が好きだったり、建物が好きだったりと、趣味趣向がDIYにあっているというところを感じます。
そういったメリットはあるものの、空き家古家投資というのは、言い換えると、不動産賃貸業という、いわゆる「事業」になります。趣味というだけでは、費用がもたなくなり、いずれ続かなくなってしまうからです。継続させていくためにも、事業という側面があるということは理解しながら進めなければいけません。
空き家・古家投資を、最初からDIYでやらない方がいい5つの理由
こういったDIYのメリットに対して、事業という側面を考えながらこの空き家古家投資を考えた時に、やはり最初からDIYで取り組むべきではない理由があります。みていきましょう。
1.入居者クレームにつながる
DIYで完成させた物件を募集に出して、入居者が決まるとします。入居者は、不動産のプロではないため、内見の時に建物の不具合を全て洗い出すことはできません。入居した後に水道の契約や電気の契約後、「あれ、水道の水量が少ない」「コンセントが一部使えない」「テレビがうつらない」「エアコンがつかない」といった不具合に気づくことになります。その後、そういった不具合の箇所を入居者がこちらの物件のオーナーに連絡をして「直してほしい」と伝えます。初めてのことで、物件オーナーもその工事を自分ですることができなかった場合、直すことができません。入居者としても、入居してから気づくことが、水や電気などのライフラインに直結しているものがあるため、すぐに直してほしいと思っています。結果、直せなかった場合は、退去につながります。退去した後、契約書の通りの生活をすることができなかったとして、今までの入居してから退去するまでの家賃を損害賠償請求されることもあります。仮に、直せたとしても、直すまでの時間はかかってしまうため、入居者の方にご迷惑をおかけしてしまいます。そういった不満は募っていき、結果的には退去になってしまうケースがあります。
水道電気だけではありません。内装の工事が不十分だと、一部クロスが剥がれてきたり、床が抜けたりすることだってあります。また屋根などの調査が不十分だと、入居後に雨漏りが発生することもあります。こういった不具合は、住んでいる方が1番感じやすいところです。そういった内見時ではわからない不具合については、ほぼ確実に入居者からお問い合わせをいただくことになります。
空き家古家投資をおこなう方は、本業が会社員ということも珍しくありませんが、平日の仕事をしているときに、入居者の方から何度も緊急の電話が入ってしまっては、本業に差し支えてしまう場合まであります。
入居者は不動産賃貸業にとっては、家賃をお支払いただく大切な「お客様」です。商品である物件自体の品質が担保できない状況では、DIYはおすすめできません。DIYも熟練の腕前になってくれば話は別ですが、最初からDIYでやろうとすると、ほとんどの場合、入居後にクレームにあうことでしょう。
2.管理会社が管理したがらない
空き家・古家投資をご提案することがある当社ですが、当社でもDIYで工事をおこなった案件については、品質がどこまで担保できているのかわからないため、管理をお受けしないことがあります。床や壁や天井は、上からなにか仕上げ材なり板を貼ると、その内側がわからなくなってしまいます。内側というのはいわゆる壁の内側や天井裏の状態、床下の部分のことで、目視できないため、知らないうちに建物の状態が悪くなっていく可能性があるのです。
空き家古家投資をDIYでおこなっている方の中で、古いアパートの共用部を鉄骨だと費用がかかるので、木材を露出して支えていたりする物件がありました。その木材や上から色が塗られているだけで、防腐処理や防水処理を施していないということでした。いつか人が通っている時に崩れて、万が一のことがあった場合に責任がとれなくなってしまいます。不動産管理会社としても、その内容を黙認して管理を受けたのかということにもなりかねません。
また、1でお話しした、クレーム対応に追われることになります。不具合に対して窓口対応をおこない、オーナーに修繕の依頼をしますが、DIYで工事をした大家さんは、業者に頼んで工事をする際の費用が高いことを望んでいません。入居者と管理会社と大家さんとで、コスト感覚と対応スピードの感覚にミスマッチが起きてしまうのです。管理会社としてはすぐにでも対応したいところですが、大家さんとしても収益性を優先して、少しでも安く済む方法を考えたりすることがあり、当然この間に入居者としての不満は大きくなっていきます。その分やりとりも増えます。管理会社は、こういった管理コストがあがってしまうことが想定されるような状況では、管理を受けたがらないというのが現状です。
3.結果的にあとから費用がかかって収益性が下がってしまう。
空き家古家投資をDIYで完成させた際、あとは家賃が決まれば最終的な収益率、いわゆる「利回り」が確定します。仮に利回り20%で物件を作れたとします。
家賃5万円で利回り20%ということは、単純計算で、物件取得費用と工事代を合わせて総額300万円ということになります。
そこで入居後に、床をやりかえたり、水道管を交換したり、不具合を修繕していくことになったとします。
誰もお住まいになっていない状況でおこなう工事と、そうでない場合とでは、工事をおこなう際の準備から変わってきます。お持ちの家具や家財などが汚れないように養生をおこなったり、あまり音を立てないよう注意しながら工事をする必要があります。普通に工事を依頼するのと比べても1.2倍-1.5倍くらいの費用がかかってくることを想定しなければいけません。
あとから工事をおこなって、仮に100万円かかったとしたら、その物件の利回りは20%だったものが、15%まで収益性がさがることになるのです。
4.品質を担保できない
DIYで空き家古家投資を取り組む際に、品質が担保できないということが発生します。始めからDIYでおこなうということは、建築の知識から工事の知識までほとんど0の状態から進めることになります。アドバイザーがついているといっても工事している間、ずっと一緒にいてくれるわけではないため、やはり自分自身のDIYスキル以上の物件には仕上がらないのです。
そうなると、品質が担保されないため、仲介業者としても案内しづらい物件になってしまいます。また、どんな不具合が発生するかという想定が毎回異なるため、そういった入居者対応についても予測ができなくなってしまいます。
また、建物として備えているべき、通常の機能まで疑う必要が出てきてしまいます。柱や梁は健全な本数が入っているか、どこか柱を抜いたりしていないか、水がでるか、お湯がでるのか、電気はつくのかという、皆さんが思い描いている「家」には当たり前にあるものの品質まで担保されないとなると、安心して、生活することができません。
5.時間がかかる
空き家古家投資を初めてDIYで進める場合、驚くほど時間がかかります。ほとんどの方が本業がある上で、土日を使って工事をおこなっていきます。その時間の中で、解体撤去・下地組み・大工工事・電気工事・水道工事・内装工事・住宅設備工事などをおこなうと考えたら、途方もない時間がかかることになります。かかる人で、1年経っても完成していないという方もいらっしゃるくらいです。また途中で、そのDIY空き家投資への情熱がなくなってしまったり、本業が忙しくなってしまったりする場合、工事を完全にストップすることにつながります。
また、特に長崎では、斜面地も多く、その物件までそういった建材や住宅設備を運び入れるとなれば、重労働にもなります。車道に車をとめてそこからおろして持っていくというのは、プロにお任せしないと、最悪の場合階段を踏み外して怪我をしてしまうということにもつながってしまいます。
以前、空き家引き受けのため内見にいきましたが、DIY工事が途中で終わっているものでした。売主さんが自分でやろうと色々と手を尽くしたのですが、事情により工事を進めることができなくなってしまったそうです。床の基礎である大引きが切断されてしまっていたり、全て上から合板を貼っているだけで、下地がゆるくなっていたりとしていました。一緒にいったリフォーム業者の方に聞くと、「一度この手をかけたものを全て撤去してから、また新たに工事をおこなうことになるので、費用が2倍近くかかります。」という意見でした。空き家を減らす活動をしていながら、さすがに成り立たせることができず、引き受けをお断りいたしました。非常に残念ですが、購入した時の物件価格でも手放せなくなってしまうことになってしまったとのことです。もしかしたら無償譲渡でも引き受け先がないのかもしれません。空き家専門の会社でも、再生できなくなってしまうことにつながってしまいます。
しかし、DIYで進め異様とする方は、誰もが最後までやり遂げる気持ちで、DIYで取り掛かっていると思います。想像の2倍くらい大変だということをイメージしてよく検討していただく必要があると思います。
まとめ
空き家古家投資を最初からDIYでやらない方がいい理由を5つご紹介いたしました。長崎という特有の場所でおこなう場合は、5つでは収まらないですが、代表的なものに絞ってお伝えできたらと思っております。まず始める前に専門家に相談するのはもちろんですが、DIYで進める場合は、一度リフォーム業者さんに依頼をして、その方々のやり方や工事スキルを学ぶところから始めても良いと思います。なにもないところからyoutubeやその他SNSで学んだものだとしても、その教えてくれた方々には責任はありません。あくまでDIYは自己責任であるが故に、入居者の方々の安全性や満足度を高いものにするためにも、なおさらしっかりと学んでから始めていきましょう。
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