空き家

空き家投資は不景気に強い?景気に左右されにくい3つの理由と安定収益の仕組み

はじめに

円安や円高、物価上昇、株価の変動など、私たちの生活や資産運用を取り巻く経済環境は日々変化しています。景気の先行きが不透明になると、保有している資産の価値が下がるのではないか、将来の収入が減ってしまうのではないかと、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

特に株式や外国為替などの金融資産は、国内外の経済情勢や政策の影響を受けやすく、短期間で価格が大きく変動することがあります。そのため、資産運用を考える際には、収益性だけでなく、景気の変動に対してどの程度安定しているかという視点も重要になります。

そこで注目したいのが、使われなくなった住宅を再生し、賃貸物件として活用する「空き家投資」です。

空き家投資は、比較的低価格で取得できる中古住宅をリフォームし、入居者から家賃収入を得る不動産投資の一つです。株式などとは収益が発生する仕組みが異なるため、景気の変動が毎月の収入に直接反映されにくいという特徴があります。

また、長崎県では人口減少や高齢化などを背景に、使われなくなった住宅の活用が地域課題となっています。こうした空き家を賃貸住宅として再生することは、投資による収益確保だけでなく、地域の住環境を維持することにもつながります。

ただし、空き家投資も景気の影響をまったく受けないわけではありません。物件の立地や建物の状態、入居需要によっては、想定した収益を得られない可能性もあります。

本記事では、空き家投資が景気の影響を受けにくいと考えられる3つの理由を中心に、その仕組みや具体例、投資を始める前に知っておきたい注意点について解説します。

空き家投資とは?一般的な不動産投資との違い

空き家投資とは、長期間使用されていない住宅や築年数の経過した中古住宅を購入し、必要な修繕やリフォームを行ったうえで、賃貸住宅として貸し出す投資方法です。

一般的な不動産投資には、新築アパートの建築、中古マンションの購入、区分所有マンションの賃貸など、さまざまな方法があります。その中でも空き家投資は、物件の取得費用を比較的低く抑えられる可能性がある点が特徴です。

例えば、購入価格が200万円の中古戸建てを取得し、リフォーム費用として200万円、その他の諸費用として50万円を支出した場合、初期投資額は合計450万円となります。

この物件を月額5万円で賃貸できれば、年間の家賃収入は60万円です。

年間家賃収入を総投資額で割った、経費控除前の利回りは約13.3%となります。一般に使われる「表面利回り」(年間家賃収入÷物件購入価格)とは分母が異なるため、物件を比較する際には計算条件をそろえることが大切です。

もちろん、実際には固定資産税や火災保険料、修繕費、入居者募集費用などが発生するため、家賃収入のすべてが利益になるわけではありません。それでも、取得価格と改修費用を適切に管理できれば、比較的少ない投資額から家賃収入を生み出せる可能性があります。

また、戸建て住宅には、マンションやアパートとは異なる賃貸需要があります。

例えば、子育て世帯や複数人で暮らす家族、ペットを飼育したい方などにとって、独立した戸建て住宅は魅力的な選択肢となります。駐車場や庭がある物件であれば、地域によってはさらに需要が期待できます。

長崎県では、坂道や階段の多い住宅地、車での移動が中心となる郊外など、地域ごとに住宅事情が異なります。そのため、単に物件が安いという理由だけで購入するのではなく、その地域でどのような住宅が求められているかを確認することが重要です。

空き家投資の基本は、安く購入すること自体ではなく、購入費用と改修費用を抑えながら、継続して入居者に選ばれる住宅をつくることにあります。

空き家投資が景気の影響を受けにくい3つの理由

空き家投資が景気の変動に比較的強いと考えられる背景には、家賃収入の性質や物件価格の決まり方など、一般的な金融商品とは異なる仕組みがあります。

① 家賃収入は為替や株価のように日々変動しない

空き家投資が景気の影響を受けにくい理由の一つは、毎月の家賃収入が賃貸借契約によって定められていることです。

株式投資の場合、企業の業績や経済情勢、投資家の心理などによって株価が日々変動します。また、外国為替も各国の金利政策や経済指標によって短期間で大きく動くことがあります。

一方、賃貸住宅の家賃は、入居者との契約によって金額が決められています。

例えば、月額5万円で賃貸している戸建て住宅がある場合、株価が大きく下落したとしても、それだけを理由に翌月の家賃が4万円になるわけではありません。円安や円高が進行した場合でも、通常は契約に基づいた家賃が支払われます。つまり、金融市場の価格変動と毎月の家賃収入が直接連動していないことが、空き家投資の特徴といえます。

ただし、家賃が永久に変わらないわけではありません。借地借家法第32条では、税負担や経済事情の変動、近隣の家賃相場などによって賃料が不相当となった場合、一定の条件のもとで賃料の増減を請求できることが定められています。

また、景気の悪化によって入居者の収入が減少すれば、家賃の滞納や退去につながる可能性もあります。それでも、日々の市場価格によって資産の評価額が変動する金融商品と比較すると、契約期間中の家賃収入は変動が緩やかになりやすいという特徴があります。

こうした性質は、短期的な価格上昇による利益ではなく、長期的に安定した収入を得たい投資家にとって、一つの魅力になるでしょう。

② 築古戸建ては家賃が大きく下がりにくい場合がある

2つ目の理由は、築年数が経過した戸建て住宅では、家賃の下落幅が比較的小さくなる場合があることです。

一般的に、新築住宅は設備や内装が新しく、築浅という付加価値があるため、周辺の中古住宅より高い家賃を設定できることがあります。しかし、築年数が経過すると、新築としての価値が薄れ、設備の古さなどが家賃に反映されるようになります。一方、すでに築40年や50年が経過している住宅の場合、築年数がさらに5年経過したとしても、家賃が同じ割合で下がり続けるとは限りません。

例えば、築45年の戸建て住宅を月額5万円で貸し出している場合、築50年になったという理由だけで、必ず家賃を4万円に下げなければならないわけではありません。

入居者が重視するのは、築年数だけではないためです。

室内が清潔にリフォームされていること、生活に必要な設備が整っていること、十分な広さがあること、通勤や買い物に不便がないことなども、家賃を決める重要な要素になります。特に戸建て住宅の場合、集合住宅では得られにくい広さや独立性に価値を感じる入居者もいます。

長崎県内でも、地域によっては、比較的手頃な家賃で広い戸建て住宅を借りられることが、子育て世帯などにとって魅力になる可能性があります。

ただし、「築古住宅だから家賃が下がらない」と考えるのは適切ではありません。人口減少によって賃貸需要が弱まっている地域や、周辺に競合物件が増えている地域では、築年数に関係なく家賃の引き下げが必要になることがあります。

また、老朽化した設備を放置すれば、入居者が見つかりにくくなり、家賃の維持も難しくなります。

重要なのは、周辺の家賃相場を調査したうえで、物件の広さや設備に見合った無理のない家賃を設定することです。購入時から現実的な家賃水準を想定しておけば、将来的な家賃下落のリスクを抑えた投資計画を立てやすくなります。

③ 家賃収入を基準に売却価格を考えられる

3つ目の理由は、賃貸中の空き家を収益物件として売却する際、家賃収入を基準に価格を検討できることです。

築年数が古い住宅では、建物の評価額が低くなる場合があります。ただし、土地の価値や立地、建物の状態は物件ごとに異なり、空き家だから資産価値がほぼゼロになるとは限りません。不動産の価格を考える方法の一つに、将来得られる収益をもとに価値を評価する「収益還元法」があります。

ここでは仕組みをつかむために、経費控除前の年間家賃収入と表面利回りを用いた簡便な例を考えてみましょう。実際の鑑定評価では、経費を差し引いた純収益や将来の変動なども考慮します。

月額5万円、年間60万円の家賃収入がある物件について、買主が表面利回り12%を求めるなら、価格の目安は60万円÷12%=500万円です。5年後も同じ家賃収入を維持でき、同じ利回りで購入する買主が見つかれば、500万円が価格の目安となります。

一方、買主が求める表面利回りが15%になると、価格の目安は60万円÷15%=400万円です。500万円で購入した場合の売買価格差は100万円となります。

5年間、空室や滞納がなく月額5万円の家賃を受け取れたと仮定すると、家賃収入の合計は300万円です。売却代金400万円と合わせて購入価格500万円を差し引くと200万円ですが、これは購入・改修・保有・売却にかかる経費や税金、借入利息などを差し引く前の数字です。最終的な損益は、これらの費用や空室期間を含めて計算する必要があります。

このように、売却価格は家賃収入と買主が求める利回りによって変化します。

ただし、収益物件だからといって、購入時と同じ価格で売却できる保証はありません。景気悪化や金利上昇によって投資家が高い利回りを求めるようになれば、家賃収入が同じでも売却価格は下がります。

また、建物の老朽化、修繕履歴、入居状況、立地条件なども売却価格に影響します。

それでも、築年数だけではなく、実際に生み出している家賃収入を評価材料にできることは、空き家投資の特徴です。特に取得価格が比較的低い物件であれば、購入希望者の資金計画に合致しやすい場合もあります。

投資を始める段階から、将来どの程度の価格で売却できる可能性があるのかを検討しておくことで、長期保有だけでなく売却も含めた柔軟な運用計画を立てることができます。

空き家投資で安定収益を目指すための3つのポイント

空き家投資には景気の影響を受けにくい側面がありますが、物件を購入するだけで安定した家賃収入が得られるわけではありません。収益性を維持するためには、購入前の調査と適切な運用が重要です。

① 購入価格だけでなく総投資額を確認する

空き家投資では、物件価格が安いことに注目しがちですが、実際にはリフォーム費用や諸費用も含めて収益性を判断する必要があります。

例えば、100万円で購入できる住宅でも、屋根の修繕や給排水設備の交換などに400万円かかれば、総投資額は大きくなります。反対に、購入価格が300万円でも、軽微な修繕だけで賃貸できる住宅であれば、結果的に投資効率が良くなる可能性があります。

購入前には建物の状態を確認し、必要な工事の範囲と費用をできるだけ具体的に把握しておくことが大切です。

② 地域の賃貸需要を調査する

家賃収入を得るためには、入居者が見つかることが前提となります。そのため、周辺にどの程度の賃貸需要があるのかを確認する必要があります。

具体的には、近隣の賃貸物件の募集状況、家賃相場、駐車場の有無、学校や商業施設へのアクセスなどが調査項目になります。

長崎県では、坂道や階段が多い住宅地もあるため、建物まで車でアクセスできるかどうかが入居者の判断に影響することもあります。

物件価格が安くても、入居希望者が少なければ空室期間が長くなり、収益性は低下します。

③ 修繕費や空室期間を想定する

空き家投資では、毎月家賃が入ってくることを前提に収支計画を立てるのではなく、空室や修繕が発生する場合も想定することが重要です。

例えば、月額5万円の物件でも、年間2か月の空室があれば、その年の家賃収入は50万円になります。さらに、給湯器の交換や雨漏りの修繕などが必要になれば、追加費用が発生します。特に築年数が経過した住宅では、突発的な修繕に備えた資金を確保しておくことが欠かせません。

空室や修繕が発生しても運用を継続できるように、余裕を持った資金計画を立てることが、長期的な安定収益につながります。

景気に強い空き家投資にもリスクはある

ここまで空き家投資が景気の影響を受けにくい理由を紹介してきましたが、投資である以上、損失が発生する可能性はあります。

特に注意したいのが、空室リスク、修繕リスク、売却リスクの3つです。

まず、空室が発生すれば、その期間の家賃収入は原則として得られません。景気が悪化した場合には、入居希望者の減少や家賃負担能力の低下によって、空室期間が長引く可能性もあります。

次に、築古住宅では建物の老朽化による修繕費が発生しやすくなります。購入時には問題が見つからなかった設備でも、入居後に故障することがあります。

また、売却したいタイミングで必ず買主が見つかるとは限りません。収益物件としての利回りが魅力的でも、立地や建物の状態によっては売却まで時間がかかる場合があります。

さらに、長崎県のように人口減少が進む地域では、将来的な賃貸需要の変化にも注意が必要です。

国勢調査や住宅・土地統計調査などの公的データを確認しながら、地域の人口動向や住宅事情を把握することも、投資判断に役立ちます。

空き家投資の安定性は、景気の影響を受けにくい仕組みだけで実現するものではありません。

購入する物件の選定、適切なリフォーム、入居者募集、継続的な維持管理といった取り組みが組み合わさることで、初めて安定した運用に近づきます。

まとめ:空き家投資は長期的な資産形成の選択肢

今回は、空き家投資が景気に左右されにくい理由と安定収益の特徴についてお話ししました。

空き家投資は短期的な価格変動による利益を狙う投資とは異なり、毎月の家賃収入を積み重ねながら長期的な資産形成を目指す方法といえます。

ただし、景気の影響を受けにくいことと、必ず利益が得られることは同じではありません。空室や修繕、人口減少などのリスクを理解したうえで、無理のない投資計画を立てる必要があります。

長崎県には、適切な修繕やリフォームによって再び住まいとして活用できる可能性を持つ空き家があります。そうした住宅を再生し、新たな入居者へつなぐことは、家賃収入を得るだけでなく、地域にある住宅資源を有効活用することにもつながります。

景気の変動に左右されにくい資産運用を考えている方は、空き家投資を選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

株式会社NagasakiSTでは、長崎の空き家再生に取り組んでいます。空き家投資に興味のある方、空き家の活用や売却についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

参考文献

e-Gov法令検索「借地借家法」第32条

国土交通省「地価公示制度の概要」