長崎で空き家を相続したらどうする?必要な手続きと注意点
はじめに
親や祖父母が住んでいた長崎の実家を相続したものの、「自分は県外に住んでいる」「今後住む予定がない」「古い家なのでどうすればよいかわからない」と悩んでいる方は少なくありません。
空き家を相続した場合、家を引き継ぐだけで手続きが終わるわけではありません。相続人の確定、遺産分割協議、相続登記、固定資産税の確認、建物の管理などさまざまな対応が必要です。さらに、今後その空き家を「売却するのか」「賃貸するのか」「自分で利用するのか」「解体するのか」といった方針も決める必要があります。
2024年4月1日からは、相続登記の義務化が始まりました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、原則として相続登記を申請しなければなりません。正当な理由がないのに登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
この記事では、長崎で空き家を相続した場合に必要な手続きから、相続登記、税金、空き家管理、売却・解体まで、相続後に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
長崎県の空き家事情
まず知っておきたいのが、長崎県の空き家の現状です。長崎県の「令和5年住宅・土地統計調査」の結果によると、県内の総住宅数は65万5,000戸。このうち居住世帯のない住宅は11万7,200戸で、その中の11万3,000戸が空き家でした。
空き家率は17.3%で、全国平均の13.8%を3.5ポイント上回っています。さらに、2018年から2023年までの5年間で、長崎県の空き家数は11.3%増加しました。
この数字からも、長崎県では空き家の増加が大きな課題になっていることがわかります。
空き家が発生するきっかけの一つが、親世代から子世代への相続です。
例えば、長崎市に実家があり、子どもは福岡や東京、大阪など県外で暮らしているケースを考えてみましょう。親が亡くなった後、子どもが実家に戻る予定がなければ、その家は空き家になります。最初は「荷物も残っているし、とりあえずそのままにしておこう」と考えるかもしれません。しかし、誰も住まない家は換気や清掃が行われなくなり、雨漏り、カビ、害虫、雑草、庭木の繁茂などによって劣化しやすくなります。さらに、屋根や外壁の一部が落下したり、建物が倒壊したりすれば、近隣住宅や通行人に危険を及ぼす可能性もあります。
相続した空き家は、「今は使わないから放置する」のではなく、相続後の早い段階で今後の方針を考えることが重要なのです。
長崎で空き家を相続したら最初にするべき手続き
長崎で空き家を相続した場合、最初から売却や解体を決める必要はありません。
まずは「誰が相続するのか」「何を相続するのか」「家の状態はどうなっているのか」を整理しましょう。
1、遺言書の有無を確認する
最初に確認したいのが遺言書です。
遺言書がある場合には、原則としてその内容を確認しながら相続手続きを進めます。遺言書がない場合には、法定相続人を確認し、相続財産を整理したうえで、必要に応じて遺産分割協議を行います。
相続人が複数いる場合、「実家は長男が管理する」「売却して代金を分ける」など、今後の方針を早めに話し合っておくことが大切です。
2、土地と建物の所有状況を確認する
次に確認したいのが、相続する不動産の正確な情報です。
登記事項証明書などを確認して、土地と建物の所有者が誰になっているのかを確認しましょう。「実家だけを相続したと思っていたら、別の土地も所有していた」というケースもあります。
長崎市では所有者ごとの土地・家屋について、所在地や評価額などを確認できる「名寄帳兼課税台帳」があります。固定資産の状況を確認する際の資料として活用できます。
3、建物の状態を確認する
相続した空き家については、建物の状態も確認しましょう。
特に確認したいのは、以下のポイントです。
- 築年数
- 雨漏りの有無
- 屋根や外壁の状態
- シロアリ被害
- 水道・電気・ガスの状態
- 庭木や雑草の状態
- 家財道具の残置状況
- 土地の境界
- 前面道路の状況
- 駐車場の有無
- 車が敷地まで入れるか
長崎には坂道や階段の多い地域もあり、物件によっては車が敷地まで入れないケースがあります。同じ築年数の住宅でも、道路条件や高低差、駐車場の有無などによって、売却やリフォーム、解体のしやすさは変わります。そのため、相続した段階で一度、現地を確認しておきましょう。
相続登記・税金の手続き
空き家を相続したとき、特に注意したいのが相続登記と税金です。
相続登記は原則3年以内
2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。法務省によると、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
また、相続人同士の遺産分割協議によって不動産を取得した場合には、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に基づく登記を申請する必要があります。正当な理由がなく義務に違反した場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
さらに、2024年4月1日より前に発生した相続も対象です。2024年4月1日より前に相続で取得したことを知っていた土地や建物については、原則として2027年3月31日までに相続登記を行う必要があります。2024年4月1日以後に取得を知った場合は、知った日から3年以内が期限となります。
相続税の申告期限にも注意
相続した空き家については、相続税についても確認しましょう。
国税庁によると、相続税の基礎控除額は、
3,000万円+600万円×法定相続人の数
で計算されます。
正味の遺産額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告・納税が必要となります。申告・納税の期限は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。
例えば法定相続人が2人なら、基礎控除額は3,000万+600万×2人=4,200万円です。
ただし、相続財産の評価は土地や建物だけでなく、預貯金や有価証券なども含めて判断する必要があります。相続財産が多い場合や判断が難しい場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
長崎市では固定資産税にも注意
相続登記が完了していない場合でも、固定資産税の問題がなくなるわけではありません。固定資産税は、毎年1月1日時点の所有状況に基づいて課税されます。長崎市では、1月1日より前に登記上の所有者が死亡している場合、現所有者である相続人などがその年度の納税義務者となります。年の途中で所有者が死亡し、次の1月1日までに相続登記をしなかった場合は、現所有者である相続人などが翌年度の納税義務者となります。
また、相続による変更登記をしていない場合には、「相続人代表者指定届書・現所有者に関する申告書」の提出が必要となる場合があり、長崎市では現所有者であることを知った日の翌日から3か月を経過した日までが提出期限とされています。
相続した空き家については、登記や税金の手続きを正しく行うことが大切です。
相続した空き家を放置するリスク
空き家を相続した後、「売るかどうか決めていないから、とりあえず放置しておこう」と考える方もいるでしょう。しかし、空き家の放置にはさまざまなリスクがあります。
1、建物が劣化する
人が住まなくなった住宅は、換気や清掃が行われないことで湿気がこもり、カビや腐食などが発生しやすくなります。雨漏りや屋根の破損なども発見が遅れれば、修繕費が大きくなる可能性があります。
2、近隣トラブルにつながる
庭木が道路にはみ出したり、雑草が繁茂したり、害虫や害獣が発生したりすると、近隣住民から苦情が寄せられることもあります。さらに建物が老朽化すると、外壁や瓦などの落下、倒壊などによって周囲に危険を及ぼす可能性があります。
3、税金への影響にも注意
長崎市は、管理されていない老朽危険空き家について、土地の固定資産税の軽減措置を解除する仕組みを設けています。住宅が建っている土地には一定の条件で住宅用地に対する固定資産税の軽減措置がありますが、長崎市の条例で定める要件に該当すると、その軽減措置が解除され、固定資産税が増加する可能性があります。
空き家は売却・活用・解体を早めに検討
相続した空き家を今後利用する予定がないのであれば、「売却」「賃貸」「活用」「解体」などの選択肢を比較しましょう。
売却する
今後住む予定がないのであれば、売却は有力な選択肢です。まずは不動産会社などに査定を依頼し、土地・建物の現在の価値を確認しましょう。
長崎の住宅は、坂道や階段、道路幅、駐車場の有無、公共交通機関へのアクセスなどが物件の評価に影響する場合があります。「古いから売れない」と決めつけず、実際の不動産市場でどの程度の価値があるのかを確認することが重要です。
空き家を活用する
建物の状態や立地が良ければ、リフォームして賃貸住宅や店舗などとして活用する方法もあります。ただし、リフォーム費用や維持管理費、空室リスクなどを考慮し、収益性を検討する必要があります。
長崎市では空き家・空き地情報バンクの制度も設けられているため、売却や賃貸を検討する際には自治体の制度を確認してみるのもよいでしょう。
解体する
老朽化が進んでいて修繕が難しい場合には、解体も選択肢になります。ただし、解体費用だけでなく、解体後の土地をどうするのかまで考えてから決めることが重要です。
長崎市では、老朽化して危険な特定空家等の除却について、2026年度に除却費の一部を最大50万円補助する制度があります。ただし、対象となる建物や工事などに要件があるため、解体前に必ず長崎市へ確認する必要があります。
また、長崎市の「老朽危険空き家対策事業」では、所有者が建物と土地を市に寄附できるなどの条件を満たす空き家を、市が除却し、跡地を公共空間として整備します。所有者または相続人から申し込めますが、土地と建物の寄附などの条件を含め、事前に市へ確認しましょう。
売却前に税制も確認する
相続した空き家を売却する場合、一定の条件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用できる可能性があります。国税庁によると、一定の要件を満たす場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。この特例は、相続した家なら必ず利用できるわけではありません。家屋の建築時期や相続後の利用状況、売却方法など、さまざまな要件があります。
また、2024年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋・敷地を相続または遺贈により取得した相続人が3人以上の場合、控除額が最高2,000万円となるケースがあります。現在の制度では、適用期限も定められているため、売却を検討する段階で税理士や税務署などに確認しておくことが重要です。
まとめ|長崎で空き家を相続したら「早めの確認」が重要
長崎で空き家を相続した場合、最も避けたいのは「何もせず、そのまま放置すること」です。
空き家を相続したら、まず次の順番で確認していきましょう。
- 遺言書の有無を確認する
- 相続人を確定する
- 土地・建物など相続財産を確認する
- 空き家の状態を確認する
- 相続登記の期限を確認する
- 相続税や固定資産税について確認する
- 売却・賃貸・活用・解体など今後の方針を決める
特に相続登記は重要です。2024年4月から義務化され、不動産を相続したことを知った日から原則3年以内の申請が必要です。過去の相続も対象となるため、名義変更されていない長崎の実家がある場合は、早めに確認しましょう。
また、空き家は所有しているだけでも固定資産税や管理費用などの負担が発生します。建物の劣化が進めば、修繕や解体に必要な費用が大きくなる可能性もあります。
一方で、相続した空き家は必ずしも「負の財産」とは限りません。立地や土地の価値、建物の状態によっては、売却や賃貸、リフォームなどによって活用できる可能性があります。
大切なのは、相続した家を「どうするか」を早い段階で考えることです。「いつか考えよう」と先送りするのではなく、計画的に対応することが、将来的な負担を減らす第一歩になります。
当社では長崎の地域事情を踏まえながら、空き家の再生や活用のご提案を行っています。
「長崎の実家、どうしよう?」と迷ったら、ぜひ一度ご相談ください。