空き家

【2026年最新】長崎の空き家が増えている本当の理由|相続・斜面地だけではない「プレ空き家」の問題

長崎の空き家問題は「すでに空いている家」だけではない

「長崎では空き家が増えている」

ニュースや街中の風景を通じて、そう感じている方は多いのではないでしょうか。

長崎の空き家が増える理由として、よく挙げられるのが次のような問題です。

  • 県外に住む相続人が、引き継いだ長崎の実家を活用できず、そのままにしている
  • 人口減少や少子高齢化により、戸建住宅を使う人が減っている
  • 利便性を重視し、坂道の多い住宅地から平坦地のマンションなどへ住み替える人が増えている
  • 斜面地の家は解体や改修に費用がかかり、土地だけにしても売却しにくい
  • 車が入らない場所では、家財の搬出や工事にも追加費用がかかる

どれも、長崎の空き家問題を考えるうえで重要な要因です。

ただ、日頃から長崎の空き家の買取や再生、賃貸、管理に携わり、再生した戸建を利用する入居者の声を聞いていると、もう一つ見逃せない問題があることに気づきます。

それは、すでに空き家になった建物だけの問題ではありません。

現在は人が住んでいても、修繕が追いつかず、退去した瞬間に次の入居者を募集できなくなる「プレ空き家」が増えているのではないか、という問題です。

この記事では、長崎の空き家に向き合ってきたNagasakiSTの現場経験をもとに、長崎の空き家が増える背景と、空き家になる前にできる対策を解説します。

最新データで見る長崎県と長崎市の空き家

まず、公的な統計から長崎の現状を確認してみましょう。

長崎県が2026年3月に公表した令和5年住宅・土地統計調査の集計結果によると、長崎県内の空き家は11万3,000戸、空き家率は17.3%です。

全国の空き家率13.8%と比べても、長崎県の空き家率は高い水準にあります。

さらに、2018年から2023年までの5年間で、長崎県の空き家は11.3%増加しました。空き家数の増加率は全国12位です。

空き家の内訳を見ると、賃貸用が36.9%、売却用が2.9%を占めています。一方、それ以外には、別荘などの二次的住宅や、明確な用途が決まっていない住宅も含まれます。

また、長崎市の空家等対策計画では、市内に約9,300戸の空き家があると把握されています。特に、市内中心部周辺の斜面市街地では、空き家発生率が10%を超える町が多いとされています。

長崎市の特定空家等も増加しており、2025年3月末時点の残存数は884戸です。このうち、腐朽や破損が進み、周囲への危険性が認められる老朽危険空き家は184戸とされています。

つまり、長崎の空き家は単に「数が多い」だけではありません。

利用されない期間が長くなり、売ることも貸すことも難しい状態まで老朽化した住宅が増えていることが、より深刻な問題なのです。

参考:長崎県「令和5年住宅・土地統計調査」
参考:長崎市「空家等対策計画」

長崎の空き家が増える一般的な理由

相続した実家を県外から管理できない

長崎で暮らしていた親が亡くなり、県外に住む子どもが実家を相続するケースがあります。

しかし、仕事や家庭が県外にある場合、長崎へ戻って住むことは簡単ではありません。

家を売る、貸す、解体するといった選択肢はあっても、家財の整理や相続人同士の話し合い、登記、建物の状態確認など、最初に進めなければならないことが多くあります。

「次に長崎へ帰ったときに考えよう」と先送りしているうちに、数年が過ぎてしまうことも珍しくありません。

国土交通省も、空き家の発生原因の半分以上が相続によるものだと案内しています。相続する前から、家族で「誰が住むのか」「売るのか」「貸すのか」「解体するのか」を話し合っておくことが重要です。

人口減少と高齢化で戸建を使う人が減っている

長崎では人口減少と高齢化が続き、住宅を必要とする世帯そのものが減っています。

子どもが独立し、高齢の夫婦や一人暮らしになった場合、広い戸建を維持することが負担になることもあります。

階段や段差、庭の手入れ、屋根や外壁の修繕などを考え、生活の利便性が高いマンションや高齢者施設へ移る人もいます。

住んでいた人がいなくなった後、引き継ぐ人が決まっていなければ、その家は空き家になります。

斜面地では売却・解体・改修の条件が厳しい

長崎市の大きな特徴が斜面地です。

坂の途中や階段の上に住宅が建ち並ぶ風景は、長崎らしい魅力の一つです。その一方で、不動産の維持や流通という面では大きな課題があります。

車が家の前まで入らなければ、家財の搬出や建築資材の運搬を人力に頼らなければならない場合があります。足場の設置や重機の使用が難しく、修繕費や解体費が平坦地より高くなる可能性もあります。

解体して更地にしても、接道条件や再建築の可否、土地の形状などによっては、買い手が見つかりにくいことがあります。

「解体費をかけても土地が売れるとは限らない」
「修繕しても費用を回収できるか分からない」
「どうすればよいか決められない」

その結果、方針が決まらず、建物がそのまま残されてしまいます。

現場で見えてきた新たな理由は「戸建から戸建への退去」

ここまでは、すでに広く知られている長崎の空き家の発生原因です。

ところが、NagasakiSTが再生した戸建の入居希望者と話していると、最近は別の変化も感じます。

以前は、マンションやアパートに住んでいた方が、「家族が増えて手狭になった」「子どもがいるので、周囲を気にせず暮らしたい」「庭や駐車場のある家に住みたい」といった理由から戸建へ移るケースが多く見られました。

しかし、最近はすでに戸建に住んでいる方が、別の戸建へ引っ越す「戸建から戸建へ」の住み替えも増えています。

その理由を聞くと、単に広い家へ移りたいという前向きな住み替えだけではありません。

「今の大家さんが修繕してくれず、雨漏りもしているので早く引っ越したい」
「建物が老朽化したため、解体するので退去してほしいと言われた」
「床や水回りの傷みが進んでいるが、これ以上は直せないと言われた」

こうした理由で、新しい戸建を探している人がいるのです。

この現象は、一軒の賃貸戸建から入居者が退去するだけの話に見えるかもしれません。

しかし、退去した建物が十分に修繕されず、次の入居者も募集されなければ、その家は新たな空き家になります。

現在の入居者が出た瞬間に空き家となる住宅が、長崎の街中に少しずつ蓄積している可能性があるのです。

引っ越し費用が高いため、限界まで住み続ける

長崎では、引っ越すこと自体が簡単ではない住宅もあります。

坂道の途中や、車が入れない斜面地の戸建では、荷物を家から道路まで人力で運ぶ必要があります。大型家具や家電の搬出にも手間がかかり、通常の引っ越しより費用が高くなる場合があります。

そのため、建物に多少の不具合があっても、入居者は簡単に退去を決断できません。

「雨漏りはあるが、まだ住める」
「床が少し沈むが、生活はできる」
「建具が閉まりにくいが、引っ越すほどではない」

このように考え、住める限界まで暮らし続けるケースがあります。

問題は、その間にも建物の劣化が進むことです。

たとえば、屋根や外壁から入った水分は、天井や柱、梁などの木部を傷める可能性があります。目に見える雨漏りが小さくても、壁の内側で被害が広がっていることもあります。

シロアリ被害も同様です。床がわずかに沈む、柱の表面に変化が出るといった兆候があっても、生活できている間は対応が先送りされがちです。しかし、発見が遅れるほど被害範囲が広がり、部分的な補修では対応できなくなる可能性があります。

入居者が退去した時点で調査してみると、次のような問題が見つかることがあります。

  • 屋根だけでなく天井や構造部分まで傷んでいる
  • 水回りの漏水によって床下が腐食している
  • シロアリ被害が複数の部屋へ広がっている
  • 電気・給排水設備を含む大規模な更新が必要になっている

入居者がいる間に小さな修繕を行っていれば、建物を残せたかもしれません。

ところが、修繕が先送りされた結果、退去後には多額の再生費用が必要となり、所有者が活用を断念してしまいます。

こうして「人が住んでいた家」が、短期間のうちに「再利用が難しい空き家」へ変わっていくのです。

なぜ長崎の賃貸戸建を修繕できないのか

それでは、なぜ所有者は建物を修繕しないのでしょうか。

もちろん、すべての大家さんが修繕を避けているわけではありません。建物を定期的に点検し、必要な工事を行いながら、大切に運用している所有者も多くいます。

一方で、個人の大家さんが高齢になり、賃貸経営からの引退を考えているケースも増えています。

大家さん自身が高齢になっている

長年にわたって戸建を貸してきたものの、年齢とともに管理や入居者対応が負担になることがあります。

自分で現地を確認できない。業者の手配が難しい。工事内容や見積もりの比較にも体力を使う。

こうした事情から、「今の入居者が退去したら大家業を終えたい」と考える方もいます。

引退を考えている状況では、将来の家賃収入のために大きな修繕費を投入する判断が難しくなります。

修繕費を老後資金から出したくない

住宅設備や建物の修繕には、まとまった資金が必要です。

工事費は建物の状態、面積、立地、搬入条件などによって大きく異なりますが、給湯器の交換、水回りの更新、雨漏り修繕、屋根の葺き替えなどが重なれば、負担は小さくありません。

特に斜面地では、資材運搬や足場などの追加費用が生じる場合もあります。

「今から大きなお金をかけて、何年で回収できるのか」
「その資金を老後の生活費として残したい」
「修繕せず、現状のまま誰かに引き取ってほしい」

大家業を引退しようとしている方にとって、これが本音ではないでしょうか。

これは単なる管理不足ではなく、所有者の年齢、資金、今後の生活が関係する現実的な問題です。

退去後に募集できず、売却にも時間がかかる

入居者が退去した後、所有者が賃貸経営を続けるのであれば、必要な修繕を行い、新しい入居者を募集します。

しかし、引退を考えている所有者にとって、追加費用をかけて再募集することは現実的ではない場合があります。

そこで売却を検討しますが、修繕されないまま長期間使われた建物は、そのまま入居できないこともあります。

買主は、物件価格に加えて次の費用を考えなければなりません。

  • 雨漏りや屋根の補修
  • シロアリ被害の調査と修繕
  • 床や壁、天井の補修
  • キッチン、浴室、トイレなどの更新
  • 給湯器や電気設備の交換
  • 残置物の撤去
  • 斜面地における資材運搬や工事の追加費用

こうした費用を含めると、売主が希望する金額では購入できないと判断されることがあります。

それでも所有者が過去の購入価格や家賃収入を基準に高値で売ろうとすると、売却期間が長くなります。売却活動をしている間にも、無人になった建物は傷んでいきます。

国土交通省も、人が住まない家は換気されにくく、カビや破損などによって傷みやすくなると説明しています。また、空き家は放置期間が長くなるほど、売買や賃貸が難しくなると注意を促しています。

半年、1年、2年と時間が経つうちに、当初は再生できた建物が、修繕費の面で再生困難な状態になることもあります。

こうして、退去した戸建は買い手が見つからないまま老朽化し、長崎の斜面地にある空き家の一つになってしまうのです。

空き家になる一歩手前の「プレ空き家」とは

私たちは、空き家対策というと、すでに誰も住んでいない建物をどうするか考えがちです。

しかし、本当に空き家を減らすためには、その一歩手前に注目する必要があります。

NagasakiSTでは、次のような住宅を「プレ空き家」と捉えています。

  • 入居者はいるが、所有者が賃貸経営からの引退を考えている
  • 雨漏りや設備故障があっても、十分な修繕が行われていない
  • 現在の入居者が退去したら、再募集する予定がない
  • 所有者の高齢化により、建物の管理が難しくなっている
  • 売却を検討しているが、希望価格が決まらず先送りされている
  • 次の相続人が建物を引き継ぐ意思を持っていない

この段階では、まだ人が住んでいます。家賃も発生しており、外から見れば通常の賃貸住宅です。そのため、空き家問題として表面化しません。

しかし、入居者の退去や所有者の体調変化、設備の故障などをきっかけに、一気に空き家化する可能性があります。

建物の状態が比較的良く、入居者との関係も維持できているうちに方針を決められるかどうかが、空き家の発生を防ぐ重要な分岐点です。

長崎の空き家を増やさないために、入居中からできること

大家業をやめること自体は、所有者の自由です。年齢や体調、家族の状況によって、賃貸経営を続けることが難しくなるのは当然のことです。

大切なのは、限界まで所有し続け、建物が傷み、入居者が退去してから考え始めるのではなく、まだ活用できる段階で次の所有者へ引き継ぐことです。

小さな不具合を先送りしない

雨漏り、床の沈み、水回りの漏水、シロアリの兆候などは、早期に確認すれば部分修繕で済む可能性があります。

入居者から連絡があったときは、すぐに大規模工事を決められなくても、まず現地確認や専門業者の調査を行うことが大切です。

原因と建物の状態が分かれば、修繕する、現状で売却する、管理を委託するなど、次の選択肢を比較できます。

入居者がいる状態での売却も検討する

賃貸中の戸建は、入居者との賃貸借契約を引き継ぐ「オーナーチェンジ物件」として売却できる場合があります。

入居者がいるため、購入後すぐに賃料収入が見込めることは、投資家にとって一つの判断材料になります。

ただし、売却価格は建物の状態、賃料、立地、接道、修繕履歴、将来必要になる工事などを総合的に考える必要があります。

利回りだけで一律に価格を決められるものではありませんが、築年数の古い戸建や斜面地の物件では、買主が修繕費や管理リスクを負う分、それらを織り込んだ価格設定が必要です。

たとえば、投資家が検討できる水準として、想定利回り15%、20%、物件の条件によっては30%程度になる価格が現実的な場合もあります。

ここで過去にかけた費用や希望利益を優先して高値で売ろうとすると、売却に時間がかかります。その間に建物が老朽化し、入居者が退去すれば、収益物件だった建物が空き家へ変わってしまいます。

高く売ることだけでなく、建物を使えるうちに次の所有者へつなぐことも、長崎の戸建を残すための選択肢です。

空き家になる前に専門家へ相談する

空き家になってからでも相談はできます。しかし、入居者がいて建物が使用されている段階のほうが、選べる方法は多くなります。

  • 現在の入居者に住み続けてもらいながら売却する
  • 必要な箇所だけ修繕して賃貸を継続する
  • 管理を専門業者へ委託する
  • 将来の退去時期を見据えて売却計画を立てる
  • 現状のまま買取業者へ相談する

「まだ空き家ではないから」と先送りせず、大家業をやめたいと思い始めた段階で相談することが重要です。

まとめ|長崎の空き家対策は「空き家になる前」が鍵

長崎の空き家が増えている背景には、相続、人口減少、高齢化、斜面地、工事費、接道条件など、複数の問題があります。

しかし、現場で入居者や所有者と接していると、現在は人が住んでいる賃貸戸建の中にも、将来の空き家候補があることが分かります。

建物の不具合が修繕されない。引っ越し費用がかかるため、入居者が限界まで住み続ける。退去時には大規模な修繕が必要になる。所有者は大家業からの引退を考え、修繕や再募集を行わない。高値で売ろうとしている間に、さらに老朽化する。

この流れを止めなければ、長崎の空き家はこれからも増えていくでしょう。

重要なのは、空き家になった後の対処だけではありません。

入居者が住んでいる。家賃収入がある。建物もまだ修繕できる。

この「プレ空き家」の段階で、修繕、管理継続、売却、買取などの方向性を決めることが、建物を残し、長崎の空き家を減らす鍵になります。

NagasakiSTは、長崎の空き家を減らすことを事業のミッションとしています。

入居中の戸建についても、入居者の生活や賃貸借契約に配慮し、必要な了承を得ながら修繕し、建物を次の世代へ残す方法を検討します。

「大家業を引退したい」
「修繕に大きな費用をかけるのが難しい」
「入居中のまま売却できるか知りたい」
「斜面地の戸建なので、一般的な不動産会社では扱いが難しいと言われた」
「利回りを踏まえた現実的な価格でも、建物を引き継いでほしい」

このようなお悩みがある方は、空き家になる前に一度ご相談ください。

物件の状態や権利関係、接道、賃貸条件などを確認したうえで、当社の買取基準に合う物件については、現状のままの買取も検討します。

長崎の家を、使えるうちに次の人へつなぐ。

その早い決断が、将来の空き家を一軒減らすことにつながります。