相続登記義務化の長崎空き家への影響
今回は、相続登記義務化が長崎空き家に与える影響についてご紹介していきます。相続登記が何のために義務化になったのかという背景から、空き家に与える影響について整理しながら書いていこうと思います。
相続登記義務化の背景と理由
相続登記の義務化が導入された背景には、いくつかの理由があります。それは、それぞれの立場にとって必要になるものになります。下記に整理しながら記載していきます。
1. 土地所有者の把握
相続登記が行われないまま放置されると、所有者不明の土地が増加します。このような状態では、公共事業や土地利用計画の遂行が難しくなることがあります。相続登記を義務化することで、土地の所有者を明確にし、適切な管理を行えるようにすることが目指されています。
2. 税収確保
土地や建物に関する固定資産税などは所有者に課されますが、相続登記が行われないと新たな所有者がはっきりとせずに、税収の確保が難しくなります。義務化により、正確な税収を確保することが可能となります。建物が現存していて、建物の登記も残っていれば、現行のルールでは、固定資産税は軽減措置があり、本来の税額の1/6になります。
3. 相続争いの防止
相続登記が行われないままでは、将来的に相続人同士で争いが生じる可能性が高まります。登記を義務化することで、相続手続きの透明性が向上し、相続に関する争いを未然に防ぐことができます。また相続の際に、共有持分での相続をおこなった場合など、今まで相続登記がなかったことで、所有者の割り出しが難しかった部分も、この義務化によって所有者の割り出しが可能となり、共有持分でなかなか売りづらい、市場に出しづらいとされている不動産を流通させるきっかけにもなります。
4.土地の有効活用
登記がおこなわれないままの土地や建物は放置されることが多く、その結果、空き家となってしまうケースがあります。相続登記を義務化することで、空き家の有効利用を促進し、
長崎空き家への影響
長崎の空き家への影響としては、下記があげられると考えております。
1. 長崎空き家の現所有者の費用負担が増える
相続登記義務化により、土地と建物の名義が現状誰のものなのかがはっきりします。そうすると、長崎の傾斜地にある空き家については、解体したら費用がかかりますし、その後の固定資産税は今まで建物登記が残っていた際の軽減措置がなくなり、1/6だったものが1/1になります。年間にしたら10万円程度変わってくることもあるため、ますます建物を解体するという判断ができなくなります。建物を解体して更地にして、売却できればいいのですが、傾斜地の更地については、ほとんど売ることができません。わざわざ傾斜地の更地に新築を建てる人がほとんどいらっしゃらないからです。それは、資材の運搬や建築作業自体、傾斜地にあるだけで負担が増えるため、工事代があがってしまうことと、駐車場が敷地内にとれないことなどがあげられます。
長崎の空き家特有の、解体したらどうしようもなくなってしまうという危機感と負担感が現所有者の方々に及ぶことになります。
2. 長崎 空き家所有者に対する問い合わせが増える
相続登記をおこなうことで、現所有者の氏名と現住所が土地建物の謄本に記載されることになります。所有者が何とかしようと思っていても何かしらの事情で進めることができていなくても、謄本上に記載されている住所に、買取査定のDMや隣人からの問い合わせがくることになるというのが十分想定されます。住んでいる方の隣の家が空き家で、物音がして気になるということや、こちらに傾いてきているので何とかして欲しい。という要望が届くこともあるかもしれません。その際に、現所有者が遠方ですぐに対応することが難しいとなった場合に、トラブルの原因にもなりかねません。早く何とかしたいが、更地にするには費用がかかるし、更地にしても売却が難しいし、市に寄付することができるかわからないなど、色々と大きな決断を迫られることにもつながってしまいます。
そうなる前に空き家のまま引き受けてくれるようなところにそのまま依頼するなど、事前に対処することが必要です。
まとめ
相続登記義務化の背景と理由から、長崎空き家への影響をご紹介いたしました。利活用する予定があればよいのですが、特に現時点で利活用する予定がない空き家を所有している方は、今後どうしていくのかについて、早めのご判断ができるよう、専門家にご相談をおすすめいたします。