空き家

住宅セーフティネット法の改正で「空き家」は貸しやすくなる?【長崎版】最新の賃貸市場動向

はじめに

空き家を「貸す」ことはなぜ不安なのか


全国的に空き家が増えていますが、空き家を所有している方に「貸す」という選択肢をご提案すると、慎重な反応をいただくことが少なくありません。

「家賃が滞った場合はどうなるか」

「何かあったとき、自分で対応できる自信がない」
賃貸は入居期間が数年に渡るため、こうした金銭面や管理面でのリスクが伴うのも事実です。
さらに、築年数が古い空き家の場合、「借り手がつかないのでは?」「修繕費用が心配」という声も聞かれます。

 

一方で、実は長崎市の戸建賃貸には根強い需要があります。
築年数が古くても、広さや住環境に魅力を感じて、「ここに住みたい」という方も多くいます。特に、借りやすい賃料帯の物件の需要は着実に増えています。

借りたい人はいて、空き家という物件もあるのに、貸すことに不安を感じる人がいる。
そのような状況がある中、2025年10月、住宅セーフティネット法が改正されました。これにより、空き家を貸す人の不安軽減が期待されています。

 

この記事では、貸す側の不安を整理しながら、住宅セーフティネット法の改正点、長崎の賃貸市場の動向や築古戸建の可能性までわかりやすくご紹介します。

 

1.空き家を貸すときに多い不安と現実

空き家を貸す側が不安に感じやすいのは、

・家賃滞納への対応

・原状回復費用の負担

・緊急時の連絡体制

・入居中のトラブル対応

 

といった点です。

 

長期滞納や入居中のトラブルがこじれてしまった場合、解決には時間や手間を要し、貸主側が一定の負担を負うことがあります。

万が一、入居者が急に亡くなった場合などは、貸主側が残置物の処分などを行わなければならないこともあります。

 

そのため、特に高齢や低所得層の入居者などに対して、「何かあったら、自分で対応するのは難しいのではないか」という不安が生じやすくなります。
緊急時の連絡体制やトラブル時の対応が明確でない場合、貸すことをためらってしまうケースも少なくありません。

2.住宅セーフティネット制度の概要


このような事情から、賃貸への入居が難しい人への支援体制を整えるため、かつ家主の不安を解消して空き家活用を促進する目的で、住宅セーフティネット制度が整備されました。

参考:国土交通省

住宅セーフティネット制度 ~誰もが安心して暮らせる社会を目指して~
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000055.html

対象となるのは、

 

・高齢者

・低所得者

・障がいのある方

・子育て世帯

・外国人の方など

 

住宅確保に一定の支援が必要な方(住宅確保要配慮者)です。

この制度の特徴は、国土交通省と厚生労働省が連携して、「入居を促すこと」だけでなく、「貸主側の負担や不安軽減」も含めた仕組みづくりにあります。

  「セーフティネット住宅」登録制度
住宅確保要配慮者の入居を拒まない物件として登録された住宅情報を自治体が公開する。貸す側が申請し、登録には一定の要件を満たす必要がある。

  入居を希望する対象者への支援
対象となる方の家賃補助などの経済的支援、支援法人を定め、入居サポートや生活相談、見守りなど行う。

  住宅を提供する貸主への支援・補助

「セーフティネット住宅」として登録された住宅は、入居者とのマッチング支援や、改修費の補助を受けられる。


補助の対象となるのは、以下のような改修工事です。

 

・バリアフリー改修

・耐震改修

・用途変更工事

・防火対策や省エネ改修

 


3.住宅セーフティネット法改正のポイント

2025年10月の法改正では、居住支援法人の関与の明確化や、支援体制の強化が図られています。

単に入居を促すのではなく、自治体や支援団体などが、家賃保証や入居中の対応に関与することで、オーナーの負担を軽減する考え方が明確になりました。
参考:国土交通省
令和7年10月1日施行住宅セーフティネット法改正点概要

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001760403.pdf

 

これにより、「何かあったら貸主がすべて対応する」という構造から、「相談先や支援体制がある中で貸す」という形へ、少しずつ環境が整いつつあります。

 

事前に条件を整理し、関係機関と連携することで、貸すことへの不安や、賃貸中の対応への負担は以前よりも軽減されるのではないでしょうか。

 

4.長崎の賃貸市場と築古戸建の可能性

長崎市の賃貸市場ではマンションやアパートが多くを占めているため、比較的手頃な家賃で戸建に住める空き家再生物件には潜在的な需要があります。

たとえば、同じ家賃5万円で借りられる物件を比較したとき、
平坦地のアパートでは、30㎡以下のワンルームや1DKが主流になっています。
一方、斜面地の戸建は、2DK以上の間取りで70㎡以上のものがほとんどです。

家賃に対する間取りや広さを必須条件として探す層にとって、築年数の古さや斜面地であることは、それほど大きなネックとは見られない傾向があります。

斜面地の築年数が古い戸建でも、

 

・最低限の設備更新

・安全性の確保

・必要に応じた改修

 

を行うことで、賃貸住宅として十分活用できる可能性があります。


実際に弊社が賃貸住宅として再生を手がけた空き家は現在90棟にのぼり、その中で最初の入居が決まったあとの物件の入居率は98%を維持しています。

※初回の入居募集では、知っていただくまでに時間がかかるためカウントしておりません。


アパートと比較して隣家との距離が確保され騒音などのトラブルが少ない戸建住宅は、小さな子どもを持つファミリー層にとっても非常に魅力的です。
庭付きの生活やペット飼育がしやすい環境を求める人にも支持されています。こうした現状からも、中古戸建の価値が見直され、新たなニーズが集まり始めていると感じます。

エリアによって、リフォームや条件設定を工夫することで、「貸せないと思っていた古い家が、選ばれる物件になる」ケースは着実に増えてきているのです。

 

まとめ

制度改正をきっかけに選択肢を広げる

住宅セーフティネット法は、貸主と借主のどちらか一方を守る制度ではなく、双方が安心して契約できる環境を整えるための仕組みです。
制度の改正によって、以前よりもリスクを整理しながら貸すことが可能になっているといえるでしょう。


・家賃保証や支援体制の整備

・改修費の補助

・関係機関との連携

 

といった仕組みが強化されたことで、「空き家をセーフティネット住宅として活用する」という選択肢をより現実的に検討しやすくなったといえます。

長崎のように、空き家が増える一方で戸建賃貸のニーズも存在する地域では、この仕組みは今後重視されていくのではないでしょうか。

弊社では、空き家戸建を専門として、再生活用を行っています。
長崎の空き家を「売るか、取り壊すかで悩んでいる」、「家として残したいけれど、人に貸すのは不安」と悩んでいらっしゃる方は是非一度ご相談ください。

 

住まいに関する最新の法令や地域の制度や市場を知ることは、空き家の所有者の抱える悩みの整理や、活用の可能性を探る手がかりにもなります。

今後もこのような情報を発信していけたらと思っています。

参考:国土交通省 住宅セーフティネット制度

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001912186.pdf

参考:国土交通省
大家さん向けセーフティネット住宅のご案内https://www.mlit.go.jp/common/001349874.pdf
住宅セーフティネット制度活用Q&A集

https://www.mlit.go.jp/common/001220443.pdf