空き家

【長崎の人向け】不動産投資で「やらなくていいこと」を先に知っておこう。〜派手な成功はいらない人の、堅実な資産の守り方〜

はじめに|不動産投資=都会の話だと思っていませんか?

みなさんは「不動産投資」と聞くと、どんなことをイメージしますか?
東京や大阪のワンルーム、会社員向けの投資セミナー、高年収の人が節税をしながら資産形成を進める話――そんな印象を持っている方も多いかもしれません。

たしかに、世の中に出回っている不動産投資情報の多くは、都市部の物件を前提にしたものです。
人口が多いエリア、流動性のある市場、金融機関の評価が得やすい物件。
そうした前提のもとで組み立てられた話は、一見するととても合理的に見えます。

ですが、長崎に住んでいる人が、そのやり方をそのまま真似する必要があるかというと、私はそうは思いません。

なぜなら不動産投資は、単に「物件を買うこと」ではないからです。
その土地でどんな人が暮らし、どんな移動をして、どんな住まい方を求めるのか。
そうした生活の実態を踏まえながら判断してこそ結果がついてくるものなのです。

そのため、自分の生活圏とは異なる場所のやり方をそのまま実行すると、思った以上に判断がずれやすくなる側面もあります。

私は、長崎を拠点に不動産業を営んで3年以上が経ちます。
これまで不動産投資のサポートも多々行ってきましたが、「最初から無理にやらなくていい投資」があると感じています。

本記事では、「不動産投資で大きく成功する方法」ではなく、長崎の人が不動産投資を考えるときに、「無理してやらなくていい投資と、長崎の人に合う投資スタイル」についてお伝えします。


1:長崎の人が、東京の不動産を買わなくていい理由

不動産投資のセミナーや営業トークでは、よくこんな話を耳にします。

「東京のワンルームは需要が安定しています」
「空室リスクが低いのが特徴です」
「管理は任せられるから、手間が少ないんですよ」
「本業が忙しくても続けやすいから大丈夫」

どれも魅力的に感じますし、条件次第では間違ったことでもありません。
そして、「自分の住まいから離れた場所への投資そのものが悪い」という話をしたいわけでもないのです。実際に、きちんと知識を持ち、現地確認や運営体制を整えたうえで投資に取り組み、結果を出している人はいます。

ただ、長崎に住んでいる人が投資のはじめの一歩として、都会の不動産を選ぶ場合、見落としやすい問題があります。
それは、「判断材料が少ないまま進んでしまいやすい」ことです。

 

たとえば、資料上は「駅徒歩○分」「利回り○%」と魅力的な数字が並び、画像上もきれいに見える物件でも、実際に現地へ行ってみると印象が違うことは珍しくありません。

・周辺の道が暗くて人通りが少ない
・往来する車が多すぎて危ない
・坂がきつい
・周辺にコンビニやスーパー、病院など利便性の高い施設が少ない
・建物の管理状況に不安がある
・似た条件の競合物件が多い

こうした要素は、数字や画像だけではリアルが見えにくいものです。
不動産は、株や投資信託のように画面の中で完結する商品ではなく、その場所にずっとあり、その街の暮らしや人と結びついています。
だからこそ、立地や賃料、表面利回りだけでは測れない部分が、結果を左右するのです。

長崎から東京の物件を検討するとなると、現地を何度も見に行くのは簡単ではないでしょう。
仕事や家庭の都合もありますし、交通費も時間もかかります。
するとどうしても、「現地を十分に見ないまま、投資判断をする」といった状態に陥りがちです。
そして、エリアの良し悪しを実感としてつかめないだけでなく、「あの物件と比べるとここが良い」といった比較の軸も持てません。
最終的に、業者の説明を信じるしかなくなってしまうわけです。

これは知識が足りないからというよりも、遠方に住んでいるがために、そもそも自分で納得できるだけの材料をそろえにくいからなのです。

投資にリスクはつきものです。
特に、まとまった投資額となる不動産投資では、「分からないものに手を出さない」という判断が鉄則となります。

東京の物件が悪いのではなく、長崎に住む投資初心者にとって、最初から確認できないことが多すぎることは、紛れもない事実。
だからこそ、わざわざそこから不動産投資を始めなくていいのです。



2:長崎の人は「土地勘」という最強の武器を持っている

一方で、長崎市内やその周辺の物件への投資を考えたとき、地元の人には大きな強みがあります。

それが「土地勘」です。
長崎に住んでいる人なら、数字や地図だけでは分からないことを、日常感覚として知っています。みなさんも、長崎市内の地名などを聞けばすぐにこうしたイメージが湧くはずです。

「この辺りは坂がきついから、提案されている徒歩時間より実際は負担が大きいだろう」
「バスはあるけど、本数や時間帯によって使い勝手が違うんだよな」
「ここは、車がないと生活しづらい地域だ」
「あそこは学生の多いエリアでにぎやか」
「空き家が多く見えても、実はあのエリアに住みたい人は一定数いる」

 

こうした感覚は、「なんとなくの印象」ではなく立派な生活情報です。
そして不動産投資では、この生活情報こそが、入居のしやすさや管理のしやすさに直結するのです。

現在、空き家の増加は深刻な社会問題となっています。総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%と公表されました。[注1]
さらに長崎市の公表資料でも、令和5年の「空き家」は前回調査より5,150戸、15.2%増とされています。[注2]

もちろん、空き家が多いから即座に投資機会がある、という単純な話ではありません。
ただ少なくとも、地域の住宅事情を細かく見る視点がますます重要になっているのは確かです。

その視点があれば、今放置されている空き家が投資によって再び誰かの住まいとなり、家賃収入を生み出す可能性は十分にあるからです。
地元の暮らしを知っている人の感覚は、思っている以上に価値があるのです。

見方を変えれば、そうした感覚は東京の投資家にとって、すぐには手に入らない情報です。
どれだけポータルサイトや地図を眺めていても、地元で暮らしている人の肌感覚には追いつけないのです。

つまり、長崎の人は「地方都市で、最初から不利」なのではなく、むしろ「自分の分かる範囲で選べる」という有利さを持っているのです。

とはいえ、地元だから必ず成功するわけではありません。
ただ少なくとも、見当違いの判断をしにくいことは明らかです。

さらに地元の物件であれば、気になるときに自分の目で見に行きやすいという大きな利点もあります。机上で終わらせず、実際に現地へ足を運び、周辺環境を確かめ、生活導線を考えて判断できる。これは、不動産投資においてとても大きな意味を持つのです。



3:年収が高くなくても「不動産投資できる人」はいる

不動産投資に興味があっても、多くの人は最初にこうした不安の壁にぶつかります。

「自分は年収が高くないから無理ではないか」

「大手企業勤務など、属性が良くないと不動産投資はできないだろう」

こう思うのは普通ですし、半分はその通りです。
実際、次のような投資スタイルをとる場合、年収や勤務先、勤続年数などが問われることもあります。

・フルローンを前提に組む
・短期間で複数物件を買い進める
・手元資金を薄くして拡大する
・一時的な赤字や持ち出しを受け入れる
・売却益や節税効果を前提にする

こうした投資スタイルでは、金融機関の評価や信用力が大きく影響しますし、そもそも最初に多額の資金が必要だからです。


ですが、ここで「じゃあ、やっぱり自分は無理か」とあきらめるのは気が早いです。

たとえば、「長崎市内の中古戸建に投資する」場合は違います。
次のように、「身の丈を超えない規模で投資する」という前提があれば、年収500万円以下の人でも不動産投資を現実的に検討できる可能性は十分にあります。

・無理な借り入れをしない
・一発逆転を狙わない
・まずは1つの物件を丁寧に見る
・本業や家庭を優先できる範囲で考える
・生活費を削ってまで始めない

つまり、見るべきなのは年収の額だけではなく、生活全体の安定度なのです。
同じ年収の人でも、固定費の重さ、家計の安定度、貯蓄余力、借り入れへの考え方によって生活状況は大きく変わります。

毎月の支出が重く、少しの出費でも家計が揺らぐなら投資には慎重になるべきです。
逆に、派手な収入ではなくても、固定費を抑え、堅実に家計を管理できている人は、十分に投資の検討余地があります。

不動産投資は、始める前は「どれだけ借りられるか」に目が行きがちですが、多くの人は購入した物件を運用することで、長く収入を得ることを望んでいると思います。
ですから、実際に投資を始めた後に重視すべきことは、「どれだけ落ち着いて運用を続けられるか」なのです。

年収の低さだけで、不動産投資の可否を決めないでほしいですが、もちろん「誰でも簡単にできる」とも言いません。
大事なのは、背伸びした前提に自分を合わせるのではなく、自分の生活に合う前提を見つけること。それを、ぜひ覚えておいてください。


4:長崎の人に向いているのは「増やす投資」ではなく「守る投資」

不動産投資の情報は、どうしても「お金を増やす話」が中心になりがちです。

何年で何棟購入した、家賃収入がいくら、10年で資産が倍に増えた――。
そうした話は目を引きますし、分かりやすさもありますね。

ですが、長崎で暮らしている多くの人が本当に求めているのは、そうしたことではないのではないでしょうか。

「老後のことがなんとなく不安」
「年金だけで本当に大丈夫か分からない」
「貯蓄だけでは心許ない気がする」

そんな漠然とした不安を抱えながらも、「今の生活を壊すようなことはしたくない」し、「大きく増やしたいというより、失敗したくない」と考えていませんか?

そんな方にマッチしやすいのは、増やす投資ではなく「守る投資」です。

「投資なのに守るって、どういうこと?」と思われたかもしれません。
「守る」といっても、何もしないことではないのです。

派手な成功を求めるのではなく、リスクを自分で把握できる範囲に抑えつつ、将来への不安を少しずつ薄めていく。そんな投資方法を指します。

たとえば、

・大きく失敗しにくい
・収支の見通しが立てやすい
・自分で判断しやすい
・無理なく続けやすい
・本業や家庭を優先できる

こうした条件は、「守る投資」によって運用を長く続けるうえでとても重要な考え方です。

 

将来の不安を減らすために、今の暮らしが不安定になっては意味がありませんよね。

特に長崎のように、地元の事情を把握しやすく、自分の生活感覚と照らし合わせながら投資判断しやすい環境は、この「守る投資」の発想と相性がよいのです。

 

「10年で資産を倍にしたい」ではなく、「10年後に少し安心できる材料を増やしたい」。

 

そうした温度感の人には、「守る投資」が合っている可能性が高いです。

 

 

5:「やらなくていい投資」を知ることが、一番の近道

 

不動産投資を考え始めると、多くの人は「何を買えばいいのか」「何をすればうまくいくのか」を探し始めます。

ですが、特に最初の段階では、それ以上に大切なことがあります。

それは、「何をやらなくていいか」を先に決めることです。

不動産投資は、一つの正解を当てるのではなく、大きな失敗を避けながら、自分に合うやり方を見つけていくものです。

そのため、投資経験が浅い人ほど、「良い投資対象を探すこと」よりも、「危ない判断を避けること」のほうが結果に効くことがあります。

長崎の人が最初に避けたいのは、たとえば次のようなことです。

 

 

1.都会の高額ワンルームを、よく分からないまま買うこと

これまでお伝えしてきたように、判断のプロセスが危うくなりやすいことが問題です。現地を十分に見られず、比較もできず、説明を受けた内容をそのまま信じるしかなくなる。その状態での高額な買い物は、リスクが大きいと言わざるを得ません。

 

2.話がうますぎる節税スキームに飛びつくこと

「節税になります」「自己資金が少なくてもいけます」といった言葉は魅力的ですが、不動産投資は本来、節税だけで成立するものではありません。家賃収入、修繕、空室、管理、そして売却といった出口まで含めて初めて判断できるのです。そこが見えないまま、節税効果だけを強調する話は、慎重に考えたほうがいいでしょう。

 

3.利回りの数字だけで判断すること

数字が魅力的な物件ほど安心のような気がしますが、表面利回りはあくまで入口の数字にすぎません。入居者を見つける難しさ、修繕コスト、そのエリアの実情が抜け落ちていれば、思ったようには進まないでしょう。

 

4.最初から拡大前提で考えること

1軒目を持つ前から、「次は2軒目、3軒目も……」などと考え始めると、判断が粗くなりがちです。不動産投資は、物件を保有した後に初めて分かることもたくさんあります。だからこそ、最初のうちは経験を積むことそのものに価値があると、堅実に考えましょう。

 

5.生活を削ってまで投資を始めること

投資のために家計が不安定になったり、精神的な余裕を失ったりするなら、本末転倒です。不動産投資は長く付き合うものであり、あなたの将来の不安を和らげるもの。だからこそ、生活とのバランスが崩れないことがとても大切なのです。

 

これらを避けるだけで、不動産投資を失敗する確率はグッと下がります。

迷ったときは、難しく考えすぎなくて大丈夫です。

「自分で説明できるか」「現地を見て納得できるか」「生活を崩さないか」。

まずはこの3つを見直すだけでも、不安の度合いはかなり変わるはずです。

 

最後に:長崎の人だからこそ、考えてほしいこと

 

正直な話、長崎には東京や大阪のように日々派手な投資話が流れてくるわけではありません。

それを、「情報が少なくて不利」だと感じる人も、おそらくいるでしょう。

 

ですが、お伝えしてきたように見方を変えれば、それは強みでもあるのです。

情報が多いことはもちろん大切です。  

しかし情報が多すぎると、人は無意識に急がされますし、焦らされます。

「今やらないと損かもしれない」「誰かに買われてしまったらどうしよう」といった気持ちに引っ張られやすくもなるからです。

 

一方で、長崎は自分の生活感覚をしっかり保ちながら、投資について冷静に考えやすい環境です。それは、地方に住む人の強みと言ってよいでしょう。

 

「守る投資」は決して消極的ではなく、不動産投資を安心して長く続けるための、堅実な選択です。

もしあなたが、「投資に興味はあるけれど不安も強い」、「東京の話を聞くたびに、どこか違和感がある」、「大きく増やすより、まずは失敗しないことを大事にしたい」と感じているなら、一度「長崎目線」を持ってみませんか?

 

とはいえ、いきなり物件探しを始める必要はありません。

まずは、お伝えしてきたように「自分は何をやらなくていいのか」を整理してみてください。

そして、あなたが思い描いている豊かで安心感のある将来に向けて、今から少しずつ備えを始めましょう。私も地元をよく知る不動産のプロとして、長崎の人が不動産投資を考える大切な出発点を心から応援しています。

 

※出典

[注1] 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」

https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/index.html

 

[注2] 長崎市「令和5年住宅・土地統計調査 調査の概要」

https://www.city.nagasaki.lg.jp/uploaded/attachment/47076.pdf