長崎空き家再生のゴールは?
今回は前回からの続きで、3つ目の「長崎空き家再生のゴールは?」についてご紹介していきます。
空き家再生の1次流通
まずは、空き家をそもそも解体して減らすことや、流通させることで所有者が変わって、空き家問題を解決への第1歩を進められるという1次流通があります。空き家が流通することで、今まで知られていなかった空き家がネット掲載されたり、売買されたりと、目に触れるところへ出てくることにはなるので、そういった空き家の1次流通というのは非常に重要な役割があります。空き家を利活用したい方がいても、その物件情報がネット上や不動産会社が保有していないと、そもそも購入することができないからです。こういった1次流通で空き家が情報公開された際に、最初に着手されるのは業者間売買になります。例えば、共有持分などで、物件の権利関係をまとめて、商品として売れる状態にしたあと、リスクが低く売却できるのは不動産の業者間売買になるからです。そうした流通を経て、その購入者である不動産業者が、2次流通としてネット掲載したり、自社で情報を保有して、こういった空き家を取り組んでいる方々に売買を進めていきます。この動きがないと、共有持分になっている物件を流通させることは難しいでしょう。
2次流通での空き家再生のリスク
上記で話した2次流通の中で、エンドユーザーすなわち一般消費者が購入した場合は、空き家にとって再生されない、利活用されないリスクがあります。一般消費者には、空き家購入にたいして2種類の目的があります。
その2種類のうち1つめとして、自己居住用として購入する場合があげられます。住宅ローンやリフォームローンを使い、資金を調達し、時にはリフォームやDIYをおこない、自己居住用とする場合は、最終的にその物件に「住む」という目的があるため、工事を完了させなければ住めないですし、そのために資金計画を組んでいくため、計画に大きな変更はありません。
2つめとしては、収益物件として再生するパターンです。収益物件として再生する際、意識されてるのは、いかに費用をかけずに、高い家賃で入居者様に入居していただくかということです。自己居住用ではないため、費用は抑えてリフォームの計画を進めます。自己居住用のリフォームローンについては、どこの銀行もご融資していただける体制にはなってきますが、収益物件用のリフォームとなると、事業用のローンとなり、その方のご経験や実績も問われることになります。もし仮に現地調査後、リフォームの見積を出して、想定よりも高くなってしまった場合、削れるところを探して、調整することになりますが、購入前の調査が不十分で、リフォーム費用で削れるところがなかった場合、リフォームをしないでそのまま損をしない程度の価格で、売却をするということになってしまうこともあります。
また、収益物件として再生するパターンでリフォーム業者をご利用されずに、ご自身で工事をする、DIYという方法がありますが、目的としてはこちらも同様、費用をかけずに入居者様に入居していただくかということが目的になります。DIYとはご自身で工事から資材の購入までおこなうことになります。そのリフォーム途中で何かしらの理由で工事ができなくなってしまったり、資金が少なくなってきて、資材が購入できなくなったりした場合、工事途中で売却するということもあります。
こうなると購入時よりも値段をさげないと売却自体も難しくなってきてしまいますが、途中までリフォーム費用をかけていることもあり、購入当初の金額で売るという判断ができないということも起きてしまいます。すると、人も住むことができない、流通もしないという結果になり、空き家を再生されることが本当に難しくなってしまいます。
空き家の最終購入者の選択肢を見守る
当社としての空き家再生の最終着地点は「人が住み続けること」。これを空き家再生のゴールにしています。
そのため、最終的に空き家を購入した人が、どういう風に取り扱っていくのかということを見届けなければならないと思っております。
見届けるためにどうすればいいのか。
それは当社を、その物件を見守れる立ち位置においておく必要があります。
賃貸借契約であれば、建物の管理会社として、売買契約であれば、建物の相談窓口として対応できるよう体制を整えることもそのひとつです。
そうすることで、入居者さまが退去されたり、自己居住用の購入者が売却して引越するということになっても、ずっと物件に紐づいていくことで、その物件がまた再度空き家にならないように見守ることができます。
まとめ
空き家問題は、大変根深い問題で、簡単に解決の方向へ進めるには難しいです。特に長崎では、傾斜地にお住まいの方々が住み替えで平地を選択されることが増えてきました。日本全体でも長崎でも人口は減少していき、空き家の中でも特に傾斜地の空き家は増え続けています。住める戸建を低価格、アパートマンションと同価格帯の家賃で数多く供給することで、少しでも戸建に住む人を増やせるように、不動産業者にしかできない方法で、これからも空き家再生に取り組んでまいります。