空き家

雨が多い長崎 空き家の大雨対策とは?雨漏り・浸水被害を防ぐ管理方法と注意点

長崎と聞くと、港町や坂道、そして「雨が多い街」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。実際、長崎市は全国的にも降水量が多い地域です。梅雨や台風の時期になると、大雨による住宅被害のニュースをよく目にします。

 

空き家は人が住んでいない分、雨漏りに気づきにくいものです。気づいたときにはすでに建物全体に深刻なダメージが及んでいた……そんなケースは決して珍しくないのです。

 

実際に、「実家を空き家のままにしていたら、雨漏りが進行して屋根が崩れ落ちてしまった」という相談が寄せられたこともあります。特に、斜面地に住宅が密集する長崎では、1軒の空き家の被害が隣近所にまで影響を及ぼす恐れもあるため、注意が必要です。


さらには、屋根や外壁の小さな傷みや排水溝の詰まりも、放置すれば資産価値の低下や高額な修繕費につながってしまうこともあるのです。

 

本記事では、長崎のように雨の多い地域では、大雨に備えてどのような空き家の管理をしていけばよいのか、わかりやすく解説します。

 

大雨に備えた空き家の点検とメンテナンス

 まず重要なのは、日常的な点検とメンテナンスです。空き家だからといってわずかな雨漏りやひび割れを放置してしまうと、大雨で一気に被害が拡大することがあります。

 

屋根の点検

屋根瓦のズレや破損、スレート屋根のひび割れは、雨漏りの直接的な原因になります。台風が通過した後や、梅雨入り前には点検をしてみてください。高所作業が必要になる場合は、専門の業者に依頼するのが安全です。

 

窓周り、外壁

窓枠のシーリング(ゴムの部分)が劣化していると、そこから雨水が侵入します。また外壁にひび割れや塗装の剥がれがある場合も要注意です。外壁からの浸水は気付きにくく、内部のカビや構造材の腐食を招きます。

 

建物周りの排水溝

長崎は斜面地が多いため、大雨の際には雨水が一気に流れ込んできます。排水溝に落ち葉やゴミが詰まっていると、浸水被害につながります。年に数回は清掃しておきましょう。


雑草の除去や庭木の剪定

生い茂った植物は屋根瓦を浮かせたり、外壁を傷めたりします。雨樋の破損、排水溝の詰まりの原因にもなります。古い木は倒れたり、枝が折れたりして、隣戸にも被害を与える恐れがあります。除草や剪定も欠かさず行いましょう。

浸水への備えも忘れずに

 大雨による被害は、屋根や外壁からの雨漏りだけではありません。地形的に低い土地や、川の近くの住宅では「浸水被害」のリスクもあります。
以下の備えをしておくと安心です。

 

ハザードマップの活用

長崎市をはじめ、各自治体では洪水や土砂災害のハザードマップを公開しています。浸水想定区域に空き家がある場合は、玄関や勝手口、地下駐車場などに止水板や土のうを設置するといった浸水対策を検討しておきましょう。

 

家財の移動

浸水が心配される地域の空き家では、家財を2階以上のフロアへ移動しておくのも有効です。「1階の家具を放置したまま浸水してしまい、片付け費用が想像以上にかかった」という事例も実際に発生しています。 

 

大雨対策を怠った場合のリスク

 空き家の管理や大雨対策を怠ると、次のようなリスクがあります。

・資産価値の低下:建物の劣化が進み、売却や賃貸などの活用が難しくなる。

・近隣トラブル:排水不良や屋根の崩落などで隣家に迷惑をかけると、修繕費や損害賠償を請求される可能性も。

・修繕費の増大:わずかな雨漏りを放置していたために、数百万円単位のリフォームが必要になるケースもあります。


住宅が密集している地域では、1軒の空き家が周囲に与える影響が大きく、所有者責任を問われるリスクがあることを忘れてはいけません。 

 

火災保険や水災補償の確認も忘れずに

 大雨に備えて、建物や家財の火災保険の加入や、補償内容の見直しも行なっておきましょう。

以下の点を一度確認してみてください。

 

・水災補償がついているかどうか

・床上浸水や土砂災害に対応しているか

・補償の対象が「居住中のみ」となっていないか

 

保険会社に問い合わせると、加入状況や必要に応じたプラン変更についてアドバイスを受けられます。

 

自分で管理やメンテナンスを行えない場合には、専門家や専門業者に依頼するのが安心です。

・空き家管理サービス:定期的に見回り、通気・清掃を行ってくれる。

・建築士やリフォーム業者:屋根や外壁の点検・補修工事を依頼できる。

・不動産会社:賃貸活用や売却を前提とした相談ができる。管理、点検ができる地元の業者を紹介してもらえることも。

「遠くに住んでいるから頻繁に足を運べない」「年だから自分で点検作業は難しい」とお困りの方は、早めに相談してみることをおすすめします。

 

まとめ

 地球温暖化の影響もあり、全国的に大雨の頻度や強度が高まっています。

特に人が住んでいない空き家は、雨が降るたびに進行する傷みに気づきにくく、ゲリラ豪雨など短期間の強い大雨などで、一気に被害が深刻化しやすい弱点があります。被害を最小限に抑え、空き家を守るためには、以下のような備えを日頃から行うことがとても大切です。

 

・定期的な点検とメンテナンス

・ハザードマップを活用した浸水対策

・保険や管理サービスの利用


長崎は雨の多い土地柄な上に、住宅が密集する地域も多いからこそ、大雨対策で空き家を守ることは、資産を守るだけでなく地域や近隣との関係を守ることにもつながります。

今回は大雨対策についてお伝えしましたが、空き家の劣化を最も進行させる原因は何より、「人が住んでいない」ことです。

自分で管理が難しければ、人の手に委ねる、あるいは住む人を探すことも、所有者としての責任を果たすことにつながります。
この記事をきっかけに、ご自宅や実家の空き家をどう守るか、どう活かすかを考えるきっかけにしていただければ嬉しく思います。

「うちの空き家は大丈夫かな?」と思ったら、迷わず専門家に相談することをおすすめします。