空き家

【長崎 空き家】空き家「差し上げます」とは?

近年、全国的に増加している空き家問題。特に地方都市ではその深刻さが顕著です。その中でも「空き家を差し上げます」というワードを目にすることはありませんか?

一見お得に思える提案ですが、その裏には所有者が抱えるさまざまな苦悩が隠されています。今回は「空き家差し上げます」というキーワードの裏に隠された心理や背景を中心に、空き家問題についてお伝えしていきます。

 

空き家「差し上げます」を選択する状況

 

「あげます・ください」というサイトなどで「空き家を差し上げます」という書き込みを見たことがある方もいらっしゃると思います。古くなったり劣化したりしているからといって、「家」という資産を無料で提供するのは一般的ではあまり考えられません。実際その背景にはつぎのような事情が考えられます。

 

  1. 市役所や不動産会社では対応不可だった物件である

 

多くの空き家所有者がまず相談するのは、市役所です。しかし、市役所では物件の処分を具体的に検討してくれるわけではありません。したがって「不動産会社で引き取りが難しいのなら、解体してください」「更地にしないと寄付を受けられません」といって事実上、拒否されてしまうのです。「それなら不動産会社に相談」となっても、同様の対応で「解体に多額の費用がかかる」「家の傷み具合からリノベーションは厳しい」といった理由から、「売却は難しい」と言われることもあります。専門家に頼る余地がなくなると、いよいよ「差し上げます」という選択肢が現実味を帯びてきてしまうのです。

 

  1. 「まだ高値が付く」と思い込み、経年劣化。苦渋の決断で無料にするケース

 

空き家所有者にとって、空き家は単なる物件ではありません。多くの場合、そこには思い出や投資した時間・資金が詰まっています。そのため、空き家になっても最初のうちは「まだ高値で売れるはずだと」と期待を抱いてしまうのです。しかし多くの場合、買い手が決まらないうちに建物の老朽化が進み、「もう誰も引き取ってくれない。なんでもいいから、引き取ってほしい」と思うようになるのです。「空き家を無料で手放す」とはある意味、所有者がやむにやまれず行った苦渋の決断ともいうことができます。

  

所有者の心理は?

 

空き家を「差し上げます」という決断に至るまでに、所有者は3段階の心理的変化があると当社は考えています。それぞれ見ていきましょう。

 

初期:

所有者は「この家にはまだ価値がある」「高く買ってもらえるはず」と希望を抱いています。安値を提示されても「あれもこれも直したから納得できない」と思うのが初期段階の特徴です。家族や不動産会社との話し合いも活発で、リフォームや売却に前向きな姿勢を見せています。しかし、実際には購入希望者が見つかりにくく、次第に焦燥感が募ることもあります。

 

中期:

売却が進まず、建物の劣化が目に見えて進行する中、所有者は次第に現実を受け入れ始めます。この時期には、家族間での意見の食い違いやトラブルが発生することもあります。「誰か住んでくれる人はいないか」と探すも家族・親族間からは「いらない」と言われてしまいます。この頃から「無料でもいいから手放したい……」という気持ちが芽生え始めます。

 

後期:

初期から後期の心理状態になるまでは人にもよりますが、1~3年がかかります。後期になると「何でもいいから手放したい」と考えるようになります。この段階で所有者が希望するのは、所有権を放棄することだけです。それどころか「あの時売っておけば良かった……」と後悔してしまう人も多いのです。

 

繰り返しになりますが、後期の心理状態になってから引き取り手を探そうとしても、ほとんど不可能に近いのが現状です。というのも、建物は多くの方が想定するより早く劣化が進んでしまうからです。実際の現場では「半年前は200万円で売却できたものが、100万円に下がる」ことも少なくありません。

言うなれば、空き家は人間と同じです。人間も年を取るとあちこち体の不具合があるように、空き家も放置すればするほど劣化が進みます。そのため空き家においては「今が一番高値である」ということを覚えておく必要があるでしょう。

   

まとめ

 

本記事では「無料で差し上げます」というキーワードに隠された所有者の心理、そして空き家を放置するリスクと価格低下の現実にも触れました。

思い出のある家であればあるほど「もう少し値が上がるかもしれない」と考えてしまうかもしれません。しかし、空き家の価値は時間とともに急速に低下します。例えば、雨漏りやシロアリ被害が進行すると大きく修繕費が必要になるケースも珍しくありません。そうならないためには、1日でも早く専門家に現状を判断してもらい、「何が一番の解決策か」を考えることです。「差し上げます」と言う前に、不動産の専門業者や空き家再生業者に相談してみてください。

なお当社では、長崎市内の空き家を専門的に取り扱っており、空き家に関するノウハウも豊富にあります。空き家の売買について、ご相談やご質問などございましたら、お気軽にご連絡をいただけたらと思います。ご連絡お待ちしております。

  

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