空き家

空き家はどうなったら減るの?

今回は、空き家はどうなったら減るの?というご質問もいただくので、国や地方自治体の取り組みや、当社としての考えをご紹介していきます。

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①地方自治体の取り組み

②国の取り組み

③どうなったら空き家が減るのか。

まとめ

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地方自治体の取り組み

 

地方自治体が空き家を減らすために行っている主な取り組みは以下の通りです。

 

1.空き家バンクの設置

空き家バンクは、空き家の所有者と購入希望者や借り手をマッチングさせるためのシステムです。

自治体のウェブサイトなどで空き家の情報を公開し、希望者に紹介します。

 

2.リフォーム補助金・助成金制度

空き家を再利用するためのリフォーム費用の一部を補助する制度です。

これにより、老朽化した空き家のリノベーションを促進し、再利用を促します。

 

3.空き家の利活用促進

空き家を地域のコミュニティスペースや観光施設、シェアオフィスなどに転用する取り組みです。

これにより、空き家が地域活性化に貢献できるようになります。

 

4.固定資産税の減免措置

空き家を活用した場合、固定資産税の減免を行う自治体もあります。

これにより、空き家の所有者が経済的な負担を軽減し、活用を促進します。

 

5.空き家の情報提供と相談窓口

空き家の管理や活用についての情報提供や相談を行う窓口を設置しています。

これにより、空き家の所有者が適切な対応を取るためのサポートを行います。

 

6.空き家の取り壊し支援

老朽化して危険な空き家の取り壊し費用の一部を補助する制度です。

これにより、安全性を確保し、地域の景観を改善します。

 

7.空き家の見回り・管理サービス

空き家の管理が難しい所有者に代わって、定期的に見回りやメンテナンスを行うサービスを提供する

自治体もあります。これにより、空き家の状態を良好に保つことができます。

 

具体的な例として、以下のような取り組みがあります:

福岡県飯塚市: 空き家バンクを設置し、リフォーム助成金制度も導入しています。

        また、空き家の活用事例を紹介し、地域の活性化を図っています。

愛知県豊橋市: 空き家の取り壊しやリフォームに対する補助金を提供し、

        地域住民の空き家活用を支援しています。

長崎県長崎市: 空き家バンクを運営し、空き家のリフォーム費用の一部を助成しています。

        また、空き家を活用した地域の観光資源化にも取り組んでいます。

 

各自治体によって取り組み内容や支援制度は異なりますので、具体的な情報は各自治体の公式ウェブサイトや窓口で確認することをおすすめします。

 

国の取り組み

 

国としても、地方自治体と同様の上記のような制度を設けて支援をおこなっています。

加えて、国土交通省が2024年に下記のような仲介手数料の規定を改訂をおこなう予定になっています。

  

この改訂により、以下のような変更が予定されています。

 

1.仲介手数料の上限引き上げ

これまでの上限額は18万円(税抜)でしたが、新しい規定では最大30万円(税抜)まで請求できるようになります 。そうすることで、現行の売買価格800万円の取引の仲介手数料と同等額の報酬が請求できるようになったことになります。

 

2.対象となる物件価格の範囲拡大

これまで対象となるのは取引価格が400万円以下の物件でしたが、新しい規定では800万円以下の物件が対象となります 。前述の計算のように

 

3.賃貸借の仲介手数料

長期の空き家の賃貸借においては、条件を満たせば仲介手数料を賃料の2ヶ月分まで受け取ることが可能になります。借主負担は賃料の1ヶ月分以内であることが条件です。これにより入居者に提案する際に、賃貸仲介業者が低難しやすくなります。

 

改訂の背景と意図

国土交通省がこの改訂を行う背景には、全国的に増加している空き家問題があります。最新の調査では、日本全国の空き家数が900万戸を超え、空家率も13.8%に達しており、空き家の流通促進が喫緊の課題となっています 。

この改訂により、不動産業者が低価格の空き家取引に積極的になることが期待されています。特に、現地調査費用や仲介手数料の上限が引き上げられることで、空き家の売買や賃貸の取引が活性化する見込みです 。

 

今後の予定

パブリックコメントは2024年5月31日まで実施され、6月中に公布され、7月1日に施行される予定です 。改訂が正式に施行されれば、空き家の取引がより円滑に進み、空き家問題の解決に寄与することが期待されています。

 

 (参考出典:日本経済新聞「放置空き家流通へ仲介料引き上げ 上限30万円、対象拡大

【イブニングスクープ】」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA15E1Z0V10C24A5000000/)

 

どうなったら空き家が減るのか。

ここからは当社の見解になります。

これまでの地方自治体や国の取り組みについては、そのまま継続していくことになることが想定されていますが、

本当の意味で、空き家がなくなるためには、

1、空き家を住める状態にして、実際に人が住むこと

2、解体すること

 

この2つのパターン以外は「空き家を減らす」というには、条件が厳しいのではと考えております。

「取引を増やして、流通させることで、購入者が空き家を活用して、空き家が減る。」

この中で、「取引を増やして、流通させる」という点では、今回の法改正は、適した手段になります。

 

実際に、不動産業者様の現場の声としては、売買契約や、物件の購入者への引き渡しまでの業務量はほとんど一緒なのに、

報酬が少ないのであれば、報酬が高い方から取引していくという動きは、多く見受けられました。

これは、仕組み上、仕方がないことです。不動産仲介業として事業をおこなっている業者様としては

当然の判断になります。

今回の法改正で、そういった動きが大きく変わってくる可能性はあります。

 

次の「購入者が空き家を活用して、空き家が減る」という点では、まだまだ課題が残ります。

 

実際に現場で空き家の取引や相談を伺っていくと、

「自分では資金が足りなくて、空き家再生ができなかったから他の人に譲りたい」

「自宅用としてリフォームをしようとしたら様々な問題が出てきて、結局住むのをやめて売却したい。」

「安く購入できたが、雨漏りやシロアリ被害が多く、どのくらい費用がかかるのかもわからないため、

買った値段で手放したい。」

 

このような意見も多く出てきていて、せっかく流通させても所有者が変わっただけで、

空き家という状況は変わっていない案件も出てくるようになっています。

 

空き家をどう利活用していくのか、というところまで、購入者に具体的にイメージしてもらう必要があります。

そうすることで初めて、空き家が減ることになると、当社は考えています。

まとめ

 

「空き家を減らす」ということは、今の「空き家を流通させる」ということの、次の段階にあります。

どういう目的で、どういう用途で空き家を使っていくのか、明確な手段を提供できるように、当社も含めて

日々考えて、情報発信していくべきだと感じています。