空き家

長崎の空き家は観光のために活用するならどんなものがある?

観光資源が多い長崎。入り組んだ地形により長崎でとれない魚はないというくらいで、新鮮で美味しいです。ちゃんぽんやトルコライスなどの文化的な食事もあり、1度の旅行で様々な食事に触れることができると思います。

また、歴史あふれる街並みとしても知られています。亀山社中やグラバー園など、時代の最先端を進んでいた長崎を象徴するようなものもあり、見応え抜群です。

今回は、そんな長崎の観光のためにできる空き家の活用というものを考えてみました。実際におこなわれている事例に加えて、今後観光のための活用方法を推察していこうと思います。

 

長崎の空き家の特徴

 

長崎の空き家の多くは、斜面地に現存しています。そのため、建物の前面まで車がいかないところがほとんどです。階段で40段〜100段あがってその空き家までアクセスすることになります。道が広いところもあれば、狭くてすれ違いができないような道もあったりします。

また、斜面地からは長崎の特徴的な景色が見えて、夜景なども大変綺麗です。海がみえたり、女神大橋までみることができるところもあります。

当社が取り扱う長崎の空き家は、主に戸建で、2階建の木造住宅が多いです。そのため、利用できる面積は60㎡から広いところで140㎡などもあり、場合によっては広い庭付きでドッグランとしても利用できるような空き家もあります。

このような特徴を前提として、長崎の観光のために活用方法をみていきましょう。

 

長崎の観光のための空き家の活用方法

 

長崎の観光のための空き家の活用方法において実際にすすめられいるものには下記のようなものがあります。

①宿泊施設

空き家の活用として観光に大きく影響しているのは、この宿泊施設としての活用です。宿泊業として営んでいる業態もあれば、民泊で運営しているものもあります。民泊といっても簡宿民法で運用する場合と、新法民泊で運用する場合でことなります。資金力があれば、参入障壁が高いが、滞在及び営業日数の制限がない簡宿民法、資金を抑えて始めたい場合は、参入障壁が低いが、滞在及び営業日数が180日以内と決められている新法民法での民泊の運営となります。

斜面地の景色のいいところの空き家などについては、民泊物件として運用すれば、窓から海が見えたり、高台で景色が良かったりします。高台で、海に近いと出島や松が枝国際ターミナルなどから出航する船の汽笛などもよく聞こえます。宿泊する方々にとっては、特別な体験になるでしょう。

一方で、電車通りまで近かったり、利便性の高いところにある空き家については、通常のホテルとあまり変わらない値段で、日本の1950年〜1980年代の古き良き日本家屋の内装を楽しむこともできます。その空き家を民泊物件として活用するにしても、日本家屋の良さを活かす、空き家所有者の方が建築時にその間取りにした思いなどが伝わるような活用方法があったら、いいですね。

長崎は宿泊施設の場所や環境によって、体験が変わってくるほど、様々な地形をしているので、何回泊まってもいいところだと感じています。

②飲食店

空き家を飲食店として活用する実例もあります。古民家カフェのように活用したり、利便性の高いところの空き家については、利用者が普段使いできるような業態で営業しているところをみかけます。しかし、斜面地ではあまりみかけません。斜面地では、そのお店に階段でいかなくてはいけない場合などは、営業することは少し難しいかもしれません。空き家の中でも、立地などに影響をうける活用方法になっています。

③サウナ

斜面地の空き家で、組み立て式のバレルサウナを経営しているところもあります。部材がある程度細かくなるということもあり、その会社のサポートを受けながら自分で組み立てることもできます。斜面地でも運びやすく、空き家の横に少し広めの庭があれば活用可能です。その上で、その空き家を休憩スペースなどにすることで、十分経営は可能となっています。

 

観光のための空き家活用方法の推察

 

観光としての空き家活用は他に方法はあるのでしょうか。筆者の経験上や他県の取り組みで長崎で進めることはできないか、いくつか例にあげて、推察していきます。

1.空き家マンスリー活用

空き家を活用する際、居住用賃貸物件と民泊物件のちょうど間の「マンスリー」などの期限付きの運用も検討が必要です。実際に当社宛のお問い合わせとして、建設現場に3-4ヶ月、福岡から通うよりも定期借家としてその期間借りられないかという相談を複数件、受けています。また、海外からの旅行者で、自宅のように生活することを好む旅行者もいます。この場合は、ウィークリーになってくると思いますが、家具や家電を用意して、日本の生活を体験することができるため、特別な体験になりえます。

しかし、ウィークリーの場合は、新法民泊に抵触してくる可能性があります。マンスリーの場合も、ウィークリーの場合も、契約形態は定期借家契約となります。マンスリーは抵触しなくて、ウィークリーが抵触するというような話もありますが、コンプライアンス上のリスクはしっかり確認して進める必要があります。

2.空き家問題を啓発する展示会場にする

空き家問題は全国で広がっていますが、全国各地にある空き家問題については、そのエリアそれぞれの理由で問題になっているポイントも少し異なります。

また、その空き家になるとどうなってしまうのか、どういうことに気をつけなければならないのかということを、実物をみながら案内することで空き家問題の意識を高めて、啓発活動をする拠点をつくることができます。

この活用方法で問題になってくるのが、その空き家を維持管理する団体が必要なのと、本当に崩れそうになっているものは、ある程度補強して、安全に観ることができる環境を維持しつつ、空き家倒壊の危険性を表現するなど費用がかかり、その費用を回収する方法の検討が必要なところです。

もしくは、各地の空き家から、空き家であることで発生した被害箇所を部分的に展示するという方法もあると思います。

いずれにしても「現物」をみることで、意識が少しでも高まり、空き家が減るような社会に近づける助けになるかもしれません。またそういった取り組み自体が、観光資源になる可能性も0ではないと考えられます。

ただ、事業性に欠けるため、継続するためには何かしら方法を考えていかなければいけませんね。

3.連なる空き家を商業施設に

空き家が連続しているところ一帯を引き受けて、古民家が集まっている商業施設として作りかえるということも活用方法として考えられます。人が集まるところを斜面地につくってしまうということです。イメージとしては神奈川県鎌倉市にある「WITH Kamakura」というプロジェクトなどがわかりやすいと思います。

斜面地でも魅力ある商業施設をつくることで、長崎の方々の楽しみを増やしながら、日本や長崎の文化に触れる観光地として、人が集まるところを作ることは可能です。

実は当社はこういった運用ができる物件を探しています。今はまだ出会えていませんが、そういった空き家の活用方法もあるということを、いつか表現したいと考えています。

 

まとめ

 

空き家の活用方法は、様々です。色々な方と話したり、情報を共有することで思いがけないアイデアと出会えたり、またそのアイデアを受け止める空き家に出会えることがあります。上記で推察していたのは、日頃空き家再生のことを考えていた中で出てきたものになりますが、しっかり調べて進めれば、どれもできないことではないと考えています。

当社はまず、賃貸需要としての再生で100棟を目指しています。その次のステップとして、出てきたアイデアの実現に向けて動いてまいります。

 

WITH Kamakura」

 https://with-project.jp/