【空き家 長崎】これから始める人必見!空き家の建物構造をシンプルに解説!(天井・屋根裏・屋根 編)
今まで、「基礎・床編」、「柱・梁編」をご紹介してきました。今回で建物の構造のご紹介は一旦締めとなります。テーマは「天井・屋根裏・屋根編」です。
普段生活している中で、表に出てこない部分になるため、これから空き家再生を始めようとする方にとっては、より建物の構造がイメージしやすくなったらいいなと思います。
【空き家長崎】シロアリ被害にあった屋根裏の束や母屋
【空き家長崎】低廉な空き家の天井と屋根裏と屋根
天井の構造や、屋根裏と屋根の構造を理解することで、どうして雨漏りが発生したのかなどの原因を理解することができます。雨がどのようにしてつたってきて、天井に雨染みができているのか、という原因までわかるようになります。また、その原因がわかることで、修繕するとしてどういった方法が適切かイメージできるようになります。雨漏りが発生しやすい場所はどういったところか、屋根として機能している状態なのか、天井はこれでいいのか、これ以上修繕工事をする必要があるのかないのかなど、全てをきれいにするのではなく、機能していないかを理解することができるため、この構造も理解することが必要です。
では、早速みていきましょう。
天井の構造
低廉な空き家である築40年から50年代の建物でよく採用されている天井の構造(構成)については、写真のようなジプトーンというものが多く見受けられます。こちらは石膏ボードの表面に模様がついていて、この上からクロスを貼らなくてもそのままで仕上げることができます。また、写真だと、天井と壁の入隅(いりずみ)のところ茶色いシミ(雨漏り跡)がありますが、この部分だけ交換するという方法もとることができるので、修繕コストを抑えられるメリットもあります。このジプトーンの上はすぐ天井裏になっていて、梁や束などがみえて、場合によっては配線や断熱材がおかれているケースもあります。
【空き家長崎】天井の素材紹介(ジプトーン)
また、和室などでは、「目透かし天井」と呼ばれるものが採用されていることが多いです。下記写真の天井部分のようなものです。これは、天井の板同士の間をぴったりとつなぎあわせないことで、膨張した際などに板同士で押し合って割れたり膨らんだりすることを避ける性能をもっています。表面はプリントまたは仕上げられていて、和室の雰囲気にあったものなどを使うことができます。また、目透かし天井は基本的には、ボンドやビスでとめられておらず、ほとんど載せてあるだけという仕上がりが多いです。基本的に建物全体の重心を重くしない方がいいため、天井については、下地材、石膏ボード、クロス仕上げというよりは、このジプトーンと目透かし天井というのが、この年代の建物では主流だといってもいいと思います。もし、ご覧になった空き家で、下地材、石膏ボード、クロス仕上げをしている天井があったら、過去にリフォームを施した可能性が高いため、所有者さんにリフォーム歴があるかどうかを確認してみましょう。そしてそのリフォームをおこなった原因のほとんどは、雨漏りによる天井部材の劣化によるものです。リフォーム履歴を聞いたその次には屋根を葺き替えたのかどうかも合わせて確認しましょう。
【空き家長崎】天井の素材紹介(目透かし天井)
天井裏の構造
天井裏の構造も至ってシンプルです。先程のジプトーンや目透かし天井から上は、下記写真のような状態になっています。300mmから400mmの隙間があいていて、梁と大引きが見えるかと思います。ところどころに束があり、天井裏である2階の床を支えています。低廉な空き家では、よくこの天井裏に動物が住み着いてしまうこともあったりします。その場合は、動物のフンなどがあったりするため、そういったものがないかも、シロアリ被害や雨漏り箇所がないかということと合わせて確認しておきましょう。
【空き家長崎】天井裏
屋根裏の構造
屋根裏には、建物全体を強くする大きな梁があります。その梁が、本ブログの1枚目の写真のように、シロアリに食べられてしまっていると、下記写真のように外から屋根をみてもわかるくらい歪んでみえることがあります。
【空き家長崎】歪んだ屋根(波をうっているのがわかります)
こうなってしまった空き家は、屋根ではなく屋根裏の梁や束などの構造物から補強していかないといけません。もしくは補強では足りず、「入れ替える」ことが必要になります。当社ではこちらの空き家は引き取ることができませんでした。再生不可と判断せざるをえませんでした。
正常な屋根裏については、下記写真の通りです。築年数に合わせて埃などがつもっているものの、梁や束、母屋や垂木、野地板などが健全な状態に保たれています。
【空き家長崎】屋根裏(築年数相当の劣化がみられるものの構造的には問題がない状態)
たまに、このジプトーンや目透かし天井の上に、断熱材が置かれているケースがあります。断熱材は、ワタ状のふわふわしたものがビニールで包まれているような状態になっています。そういった断熱材もまた、何かで止めるというよりは、天井に置く方法で十分です。敷き詰める必要がありますが、もし自分も断熱材を入れたいということであれば、ホームセンターでも購入できますので、比較的簡単に断熱材を入れることができます。
屋根裏をみたときには、シロアリ被害や動物被害はもちろん、湿ったところがないかを確認することをおすすめします。晴れている日が続いた後に屋根裏をみても雨漏りあとに気付けないことがあります。そのため、基本的には室内をみて、天井に雨漏りの後や不自然なシミなどがありましたら、その上の天井裏がどうなっているのか、確認できる点検口から目視で確認をして推測をしておきましょう。その場所を覚えておき、あとで建物の外に出て、離れたところから屋根をみると何かしらの原因がわかるかもしれません。
屋根の構造
屋根については、いくつか種類があります。大きく分けると、瓦、スレート、金属、シングル材など4つに分けられます。その中でこの年代の建物でよく採用されているのは、圧倒的に瓦が多く、その次に金属屋根です。たまにスレート葺の屋根をみかけますが、それは前は瓦だったが、スレートに葺き替えたなど、少しリフォーム履歴があると考えてもいいでしょう。
瓦でも大きく分けて、通常の瓦と防災瓦という2種類がよく採用されています。空き家の場合、自分が住んでいない間に屋根が飛ばされることがないよう、
葺き替える際に防災瓦にする方が多い印象です。通常瓦は、金具にひっかけているだけで、強風がきた場合、浮いたり飛ばされたりするリスクがありますが、防災瓦の場合は、ビスなどで下地に固定していくため、通常の瓦と比べて飛んだりするリスクは軽減されています。
【空き家長崎】防災瓦 例
【空き家長崎】金属屋根 葺き替え工事(ルーフィングなどがみえます。)
屋根の仕上げ材(瓦や金属屋根)から順番にルーフィング(防水シート)、下地材という構成になっています。屋根が痛んで穴が空いても一旦は防水シートであるルーフィングが雨をとめてくれて、雨樋へ流す役割がありますが、このルーフィングも劣化していると、雨漏りするのも時間の問題になります。下記写真のように、金属屋根でところどころ劣化による穴が空いてしまっている場合は、赤信号です。いつ雨漏りがおきてもおかしくない状態といえます。
【空き家長崎】金属屋根(劣化がひどく、いつ室内に雨漏りが起きてもおかしくない状態)
下地があり、ルーフィングがあり、屋根瓦がある。それぞれどこかが激しく劣化していると、連鎖的に悪くなってしまいます。屋根の話ばかりしていますが、雨漏りが発生しないようにするため、屋根もそうですが、ルーフィングが重要な役割をもちます。しかしルーフィングだけを交換するということはできません。ルーフィーングを交換する際は屋根も交換することになります。屋根工事の際には、下地からやりかえるのか、下地はまだ大丈夫なので、ルーフィングと屋根瓦(金属屋根)に交換するか考えながら依頼しましょう。また、屋根工事については、足場を組む必要があるため、屋根に必要な材料の他に、足場代がかかります。全体の費用感にもよりますが、足場を利用する際には、外壁や雨樋など普段届かないところの劣化についても修繕を検討してみてください。空き家再生を検討する際には、床下の状態以上に、屋根の状態を確認することが重要です。
まとめ
低廉な空き家の構造をご紹介してきました。基礎や床下、柱や梁、屋根や屋根裏など、建物の構造を語る上で、どれも重要な要素になります。どこがどうなっているとこうなるのか。どうなっていることが正解なのか、この状態で問題ないのか。自分が住んでいる家が雨漏りしてきたが原因がわからない。などご自身が所有している築年数40年以上経過している家に問題などが生じた場合は、一度ご連絡をいただけたら幸いです。空き家を減らすことが優先ですが、空き家予備軍も減らしていくことで、将来的に空き家増加を抑制することができると考えています。お問い合わせをお待ちしております。