【空き家 長崎】これから始める人必見!空き家の建物構造をシンプルに解説!(柱・梁編)
今回は、前回の記事の続きで、柱・梁編をお送りいたします。これから空き家再生をはじめよう、空き家を買って何かをしてみようという人は、柱と梁の構造はおさえておいていただいた方が良いと思います。是非ご覧ください。
【空き家長崎】柱・梁構造①
【空き家長崎】低廉な空き家の柱・梁の構造
柱の構造
前回は、建物の基礎と床の構造についてご紹介していきました。束石や大引き、土台などで構成されていたと思います。その土台の上に柱は建っています。建物の構造を維持するために1番重要な柱は、通し柱(とおしばしら)といいます。土台から2階の軒(のき)まで1本で通っている柱のになりますので、建物の四隅や大黒柱など、構造上重要な場所に位置しています。建物の外周にある柱と柱の間には管柱(くだばしら)といって、通し柱以外の柱のことを呼びます。室内における柱と柱の間については、間柱(まばしら)といって構造的な意味合いでは2次的なもので、部屋の間取りを区切ったりするのに使用します。間柱は上階の荷重を負担しない柱になるため、場合によっては、間取り拡張のため、空き家再生では抜いたりすることもあります。空き家再生では、柱の位置や大きさから抜いても大きな問題がないものと絶対に抜いてはいけないものを判断します。
【空き家長崎】柱・梁構造②
写真のように、剥き出しになっていればわかりやすいですが、そうでない場合は、部屋の角や建物の角が通し柱である可能性が高いので、それ以外の部屋の間仕切りのみで使っていそうな柱でかつ、細いものは抜けるということになります。しかし、空き家の場合は老朽化が進んでいて、通し柱ですらシロアリ被害にあっていることも珍しくはありません。そう考えると、むやみに間取り変更だといって、柱を抜いてしまうと、その柱と柱の間を塞ぐ壁自体で、支えているということもあるため、大変危険なことになってきます。当社では、天井からふすまの上まで垂れている垂れ壁(またはランマ)などは抜くことがあっても、柱は基本的に抜かないようにしています。構造的には問題ない間柱も、あまり手をつけません。文化的に残す意図もありますが、構造的にここから20年30年維持していくためには、管柱や間柱、壁であろうと構造体になりえるため、必要なものだと考えています。
内見の際に、先日、土台が一部抜かれている建物を拝見しました。お引き受けしなかったため、写真は使用できないのですが、土台を一部カットして、室内に入りやすくしているのだと思います。しかし、地震がきて横揺れをした場合、土台がずれて倒壊するリスクがあります。DIYというのはポジティブで好きな言葉ですが、そういった建物本来の構造体をDIYする必要があったのかどうか、もう一度考えていただきたい。建物の基本的な構造部分になりますので、ここが異なった構造になっているもしくは、間違った工事が施されたものであると、当然ながら傾きや強度などに影響してきます。いくら綺麗に室内を装飾したところで、建物本来の構造耐力が不足している状態では、入居する方も安心して住むことは難しいと考えられます。柱を扱う際には、十分注意することが必要で、わからない場合は決して柱を抜いたりしてはいけません。
また、土台の上に、通し柱や管柱があり、その管柱を支えるように筋交(筋交)という構造部分があります。皆さん四角よりも三角の方が外方向から内側に対する力に強そうだというのは、感覚的にわかるかもしれませんが、その通りなのです。この筋交で柱と梁に三角形をつくることで、さらに強度を維持することができ、横揺れに強くなります。
エアコンの穴をあける際、エアコン業者さんに穴あけを依頼することがあると思います。その際に、誤ってその筋交に穴を開けてしまうケースがあります。筋交の存在を知らず、エアコン使用者がそこに取り付けたいという要望があったらそれを優先してしまったり、エアコン使用者が強引に依頼することもあるそうです。この筋交、穴を開けないようにしましょう。もしくは、そういった筋交に穴があく可能性をなくすため、エアコンの穴はあらかじめあけておくことをおすすめします。そうすることで利用者がスムーズに利用できることに加えて、大事な筋交という構造体に傷をつけ、強度を落とすことを防ぐことができます。
梁の構造
梁の構造はいたってシンプルです。柱と柱の上にのったり、間をつなぐことで建物全体の強度を保つ役割をしています。また、2階の各部屋のための土台になり得る構造体です。どの土台に対して大引きがのり、根太を並べて1階と同じような部屋を構成していきます。梁ができることで、構造体として、完成するため、これがないと建物はバラバラになってしまいます。簡単なイメージとしては、「蓋」のイメージです。蓋がない箱と、蓋がある箱とでは、強度が違うことは身近なものでイメージしやすいのではないでしょうか。蓋がないと、四方の壁や柱は外側へ倒れてしまうかもしれません。蓋をすることで箱になり、強度が強くなるという仕組みになっています。また、その梁から上は屋根裏となり、次回以降にご紹介する屋根部分になってきます。梁は、空き家再生でよくでてくる築40年から50年の建物では、一本杉や松のそのまま使ったような、木だったことがイメージできるような、立派な梁が採用されているものもあります。昔の木造建築は強いということを聞いたことありますでしょうか。それは、こういった構造体として使われている梁は柱が、今と比べると太かったり、貴重な木材を使ったりしていることが影響していると考えられます。
柱の状態の確認と同じように、梁についてもシロアリ被害がないか確認をする必要があります。
【空き家長崎】梁が膨らんでいる
上記の写真は、1階部分の梁であり、かつ、2階部分の大引き部分が膨らんでいるのがわかりますでしょうか。膨らんだことで、襖(ふすま)がしなっていて、全く動かない状況になっています。また、垂れ壁(らんま)の真ん中部分が下に落ちているのもわかるかと思います。これは明らかに、何かしらの理由で梁が膨らんでいるという判断ができます。結果、2階にあがり、畳床をかえしてみると、その下には無数にシロアリがまだ生存していました。非常に残念です。当社の力で再生することができないと判断いたしました。2階部分をなくして、減築をおこなうことは可能かもしれません。しかし、そのための費用を、1,000万円〜2,000万円ほどかけておこなうことになります。斜面地の駐車場がなく、車がいかない土地である場合は、そういった物件を仕上げても購入する方々は極端に少なくなるため、一旦ストップせざるをえません。
空き家の内見の際に、少しでもこういった違和感や異変に気づくことができるようになっていただけたらと思います。2階にシロアリが生きていたとなると、他の柱や梁も被害に遭っているということになります。実際に柱を確認したら複数箇所、被害がありました。こうなってくると、悔しいですが、空き家再生が厳しいと思っていただいた方がいいかもしれません。
まとめ
低廉な空き家として取引されることが多い、築40年代から50年代の建物構造の中でも柱と梁をご紹介しました。次回は天井・屋根裏・屋根編をお送りいたします。
もしご自身が空き家再生を始めようとしていて、みている物件がこうなっている、もしくは所有している空き家がこうなってしまっているという、上記に記載がない建物の不具合や状態になっているということがありましたら、お気軽にお問い合わせ欄からご相談くださいませ。