空き家

【空き家長崎】 中古戸建の魅力とは

現在私たち家族は中古戸建に住んでいますが、なんといってもその魅力は、「それぞれの家の歴史を感じながら暮らせる」点です。ちなみに今の家は、ドアノブがすべて猫のしっぽになっていて、可愛らしさも満点(笑)。施主様のこだわりを感じるとともに、将来、家を建てる時の参考にもなっています。さて今回は、中古戸建の魅力と共に、なぜ当社が「空き家物件を扱うのか」にも触れていきたいと思います。

中古戸建は「唯一無二」であり「一期一会」

中古戸建は「唯一無二」であり「一期一会」

 

当社で扱う空き家物件はそのどれもが築40年以上のものばかり。中には築50年を超えるものや、明治時代に建てられたものを扱ったこともあります。また、「家」というより「建築」に近い立派なつくりをした家に出会うこともあります。

今の建築ではまずお目にかかれないような間取りや建具、柱の太さに加え、そこに住んできた「息づかい」を感じることもあります。例えば、柱に刻まれた背比べの傷、びくともしない柱の太さなど、そこに住んでいた方の生き様と、それを守ってきた家の歴史も知ることができるのです。

そういう意味で中古戸建は、ひとつとして同じものがない、「唯一無二」の存在といっていいでしょう。

一方、家の立場からすれば、新しい家主を今か今かと待っているに違いありません。まさに「一期一会」の出会いを待っているのです。そうしてご縁があって、新しい方との生活がスタートする……。そんな風に思うと、新築とは違うロマンを感じずにはいられません。

 

「中古戸建の良さはわかるけど、災害大国の日本。築年数の古い戸建に住むのはちょっと……」と抵抗がある人もいるでしょう。しかし調べてみると、統計上長崎は地震が少なく、明治時代の物件であっても地震で倒壊した物件はないとされています。これは、ひとえに昔の建物が昨今の建物とくらべ柱と梁が頑丈につくられていることも理由に挙げられるでしょう。

日本人はどうしても「古いものは弱く、悪い」「新しいものは良い」という固定概念がありますが、実はそうとも言い切れないのです。

 

「中古戸建の魅力」を自分なら発信できる

「中古戸建の魅力」を自分なら発信できる

 

第1回目の記事で、友人をきっかけに長崎の空き家再生事業に着手したことをお伝えしましたが、着手を決定づけたもうひとつの理由をお話しさせてください。

私がまだ大手広告代理店に在籍していた頃のことです。そのときの先輩が独立し「ビジネスを始めた」というのです。内容を聞いてみると、解体されてしまう古民家の梁や柱や古材などを買い取り、そのまま他業種に販売したり、別の家具などにリプロダクトしたりする「リサイクル業」だというのです。今となっては手に入らない、貴重な木材なども多いという話でした。

当時、広告代理店業の制作部門にいた私にとって、それは大きなショックでした。「もったいない」と思いながら数日でセットを壊し、また新しくつくるという私の仕事とは真逆だったからです。

「いつか私も起業する立場になったら、文化や歴史を引き継ぐようなそんな仕事をしたい」起業したとき、そんな思いがふっと自分の中によみがえってきました。いえ、正確にはずっと自分の胸の中でくすぶっていたのでしょう。中古戸建を扱うビジネスに積極的になれたのも、あのときの原体験があるからです。

 

月日が流れ今、いざ自分が空き家再生を扱うようになってから、より一層「今、戸建を必要としている人たちに住んでもらいたい」という思いが強くなりました。

そのためには、まずは買いやすい価格帯であること。長崎市内で500万円前後から1,000万円以内で販売できるような戸建を揃えています。「現状使える柱や資材はなるべく使う」ことを徹底した結果リフォーム費用が抑えられ、販売価格も抑えられるようになりました。環境負担も軽減できる、まさにいいことづくめの手法です。

また、愛着を持ってもらうことが大切と考え、当社では必要以上のリフォームは行わないようにしています。購入されるお客様の場合、「自分でDIYをしてみたい」という方も多くいらっしゃいます。そうした思いを大切にすることで、より戸建への愛着を持ち、居心地の良い環境に変化するからです。

ちなみに賃貸借契約の場合、制限はありますがある程度の模様替えやリフォームも可能にしています。

このような取り組みを行い、現在当社の空き家物件の販売価格は800万円前後をキープしています。「環境にも、お客様にもやさしいビジネスができる」。それこそが私が空き家再生事業を進めていく原動力なのかもしれません。

 

説明と納得を経て契約。中古戸建ならではのトラブルも予防

説明と納得を経て契約。中古戸建ならではのトラブルも予防

さて、今回は中古戸建の魅力とともに当社がなぜ、私が空き家ビジネスをスタートしたのか、その思いもお伝えしました。

とくに空き家は件数が多いとは言え、中の状態によっては泣く泣くあきらめてなくてはいけなかったり、権利の問題などで扱えなかったりすることもあります。だからこそ、空き家を引き取り、リフォームし、新しい買主様・借主様・オーナー様が決定し実際に住んでいただくと、感慨もひとしおです。

当然、お客様にとっても戸建を買う、借りるということは大きな決断を必要とするもの。空き家物件という性質上、経年劣化している部分や傾いてしまっている部分もあります。その点もしっかりお客様にお伝えし、納得されたうえで契約をさせていただいております。

事前にそうした事情をしっかりと説明することもあり、当社では現在までトラブルになった件数は1件もありません。良いお客様にめぐり合えていることもまた、空き家再生事業を進める励みになっているのです。

 

まとめ

新たな空き家物件に出会ったとき、私は「この家はどんな人が住むんだろう」という思いを持ってリフォームなどを進めていきます。止まってしまった家の歴史を進めることができるのは、空き家再生事業ならでは。今後も「幸せをつくる」お手伝いをしてまいります。次回は私が考える「家の再生」についてお話ししていきたいと思います。