【長崎空き家】無償譲渡のトラブル
今回は、前回に続き、空き家の無償譲渡について引き続き掘り下げてご紹介していきます。無償譲渡について、代表的なトラブルとその原因などをいくつか紹介していこうと思いますので、これから無償譲渡をするという方は参考にしてみてください。
【空き家無償譲渡(長崎)】諸費用がかかることを知らなかった
空き家を無償譲渡で取引できたとしても、物件自体が無償なだけで、その取引にかかわる諸経費は、依頼した分費用としてかかってきます。
まず、空き家の所有権を譲受側に移転する必要があるため、自分で進めるのが難しい場合は、司法書士に依頼することになります。そうすると司法書士に支払う報酬と登録免許税がかかります。また、所有してから自己居住用として使わない場合、事業やセカンドハウス等で利用する場合は、後に不動産取得税というものが土地と建物それぞれで納付が必要になります。間に不動産会社が仲介に入っていない場合で仲介手数料はかからなくても、司法書士などに依頼をして契約書の作成手数料などもかかってくる場合もあります。その年の固定資産税も日割精算をするのが一般的にはなりますが、譲渡側の条件によって変わることがあります。(日割精算しなくていいという考えの譲渡人もいるということです。)
このような諸費用の金額の概算を、譲渡側が譲受側に伝える義務はないため、譲受側が事前に調べて把握しておくことが必要です。
不動産取得税の計算は固定資産評価額証明書という書類を、譲渡側に準備をしてもらい、そこから計算することができます。固定資産税の日割精算についても、固定資産税評価額証明書から計算することはできますが、譲渡側に毎年固定資産税納税通知書というものが届いているはずなので、その書類が手に入れば、事前に確認することもできます。司法書士に登記費用の見積依頼をする際には、この納税通知書か固定資産評価額証明書のどちらかと、対象の土地と建物の謄本があれば、依頼することが可能です。土地と建物の謄本は、法務局の窓口にいき、住所ではない「地番」というものを知っていれば、発行することができます。
地番がわからない場合は、法務局の地番照会ダイヤルに連絡をして、住居表示(住所)を伝えれば教えていただくことができます。
不動産会社を間に入れないで、個人間で無償譲渡という取引を実現させようとすると、知らないことも全て自己責任で調べた上で取引にのぞまないと、あとあと譲渡側が、「こんなに費用がかかるなんて想定していなかった」ということにもなりかねません。不動産取引のことを勉強する必要が出てきます。
【空き家無償譲渡(長崎)】建物の状態がこんなに悪いと思っていなかった
たとえ無償だったとしても、譲受側としては、一般的に空き家の状態を目視で確認してからとなります。ただ、目視だけでは建物の状態がどの程度悪くなっているのかというのがわかりません。みた感じで建物がきれいだったので、無償譲渡で引き受けることになったとしても、リフォーム業者さんと話す際に、
・屋根の状態が悪いから、このまま葺き替えなければいずれ雨漏りをしてしまう
・シロアリがいたあとがあり(蟻道があり)柱と梁がスカスカになっているため工事できない
・床下の換気ができていなくて、土が湿気で濡れているので、換気口をつけた方がいい
・下水管がきていない。汲み取りのままにするか、本下水を引き込み工事をするのか(費用が数十万から100万円くらいします。)
・お湯がきていない。水道管がつまっていて水もでない。水道管を一部やりかえる必要がある などなど
空き家の状態は、ぱっと見た情報以上に、みえないところに劣化が隠れています。それを知らなかったとしても譲受側の自己責任となってしまいます。低廉な空き家で譲渡側に責任を追求することはほとんど場合、難しいです。無償で引き受けたはいいですが、ご自身のやりたいことが、リフォーム代が高額になることなどで、実現できなかったということがないように、建物の状態は専門家を連れて一緒にみにいくなどの手配が必要です。
まとめ
無償譲渡と聞くと、引き受ける側にとっては建物自体を非常に安価で取得することができるため、なんでもいいから引き受けるという考えに陥りがちです。空き家を引き受けてどうしたいのかという目的を明確にして、事前準備と調査を徹底することが大切です。あとでトラブルにならないようによく調べて理解をしてから無償譲渡を受けるように心がけていきましょう。また、譲渡側としては、そういったリスクがあることを譲受側に伝えることも重要です。
ネガティブな要素を相手に伝えるのは、みなさんやりたくないかもしれませんが、あとでトラブルにならないためにも、事前にコミュニケーションをとり、お互いによく理解することが重要です。