空き家

【長崎空き家】低廉な空き家等取引の媒介報酬、上限が実質33万円(税込)に引き上げ

今回は、2024年7月1日から施行された媒介報酬、要は不動産会社の仲介手数料の上限が実質33万円に引き上げられたことについてご紹介していきます。長崎において空き家再生をする場合や、空き家を所有されている方にとって、まずはおさえておいた方がいい内容になります。

 

・低廉な空き家等の売買取引における媒介報酬楽の特例とは?

・今回の法改正の経緯

・長崎空き家における影響

・長崎空き家再生の今後の流通

・まとめ

 

低廉な空き家等の売買取引における媒介報酬楽の特例とは?

 

まずは「低廉な空き家等の売買取引における媒介報酬額の特例」というものが国土交通省により、平成30年1月1日施行されています。どういった特例なのかを説明する前に、宅建業法上の報酬の制限を確認しておきましょう。

 

 【媒介報酬の制限】

取引物件価格200万円以下:取引物件価格×5%+消費税

取引物件価格200万円超~400万円以下:取引物件価格×4%+2万円+消費税

取引物件価格400万円超:取引物件価格×3%+6万円+消費税

 

上記のような制限(上限)があります。例えば1,000万円の土地売買に関して仲介に入った場合、受領できる報酬の上限は下記となります。

取引物件価格が400万円を超えているので、計算式は「取引物件価格×3%+6万円+消費税」となります。

¥10,000,000(取引物件価格)×3%+¥60,000+¥36,000(消費税)=¥396,000円を宅建業者は報酬として受領することになります。

ここで、例えば、150万円の空き家を取引した場合、取引物件価格×5%+消費税となるため、150万円×5%+消費税となり、業者が媒介報酬として受け取れる額は75,000円+消費税となります。

この報酬額では、一般的な不動産価格の媒介報酬と比較して、安価になってしまい、調査費用や人件費などまかなうことが難しくなるため、こういった取引をする業者が減ってしまったというのが問題点としてありました。

その問題を「低廉な空き家等の売買取引における媒介報酬楽の特例」の施行により上限が緩和されることになります。

低廉な空き家等の売買取引というのを取引価格400万円以下と定義して、400万円以下の物件を取引する際の媒介報酬を実質18万円+消費税と上限の引き上げがおこなわれました。例えば、先程の150万円の物件の際は、媒介報酬は75,000円ですが、追加で調査費用として105,000円を請求することができることになっています。ただ、注意点として、売主との媒介契約において、追加の調査費用を請求することについて同意を得ておく必要があります。

 

その「低廉な空き家等の売買取引における媒介報酬額の特例」により定められていた、「400万円以下の取引価格について」という部分を「800万円以下の取引価格について」というように上限が変わり、媒介報酬額についても800万円以下の取引価格については一律30万円+消費税の33万円にひきあげられることになったのです。さらに、売主側から受領する媒介報酬の他に、買主側から受領する媒介報酬も33万円にひきあげられています。

低廉な空き家等の売買取引における媒介報酬楽の特例とは?

空き家等に関わる媒介報酬規制の見直し(出典:国土交通省https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001749923.pdf )

 

これにより、100万円の取引でも、700万円の取引でも媒介報酬と調査費用として片側で(売主側か買主側どちらかで)33万円を受領できるようになったということで、1,000万円の売買と報酬の額が以前に比べて変わらなくなったということ状況になりました。

 

今回の法改正の経緯

 

こちらについては、空き家問題が大きな社会問題となっていることが経緯としてあげられます。前回の18万円の上限設定からまだ6年程しか時間は経っていませんが、より深刻な問題として国が認識していることのあらわれだと感じます。相続登記義務化で所有者を明らかにすること、今回の特例の上限緩和で、空き家の流通を促すことができます。

 

長崎空き家における影響

 

媒介報酬については、物件所有者、取引でいうと売主側が仲介会社に支払費用の上限があがったことになりますが、その分売買価格を変更したりして、調整することで、売主側の負担は今までと変わらなくすることができるため、流通は進んでいくことが想定されています。長崎空き家に関しては、車が通らないところだったり、前面道路が階段だったり、その階段が車道から50段から100段くらいあがったところだったりするため、価格のほとんどが500万円以下であることが多いです。こういった不動産は今まで大手不動産会社としては取り組みづらい、特に上司からそういう媒介契約は預からないようにという指示が出るくらい効率の悪い取引でありましたが、今回の上限緩和により、大手不動産会社も取り組むことになると考えられています。いわゆる両手仲介(売主側と買主側両方から媒介報酬を受領すること)にもなれば、66万円(税込)となります。
長崎空き家をご所有されている方にとっては、比較的今後売りやすくなってくるかもしれません。

 

長崎空き家再生の今後の流通

 

上記のように述べてきましたが、長崎空き家について、その空き家それぞれで立地条件や間取りや状態が異なるため、マンションの売買などと比べると調査の手間がかかることには違いはありません。媒介報酬の上限緩和により、参入してこられる不動産会社も多く出てくると思いますが、空き家の知識や専門性がない中で、媒介業として、買主を探すことには、少しリスクがともないます。建物の状態を正確に把握して、買主に伝えていかないとトラブルになることに加えて、その買主が引き受けた時に、「リフォーム見積したらとんでもない金額になってしまった」「床下が腐っていて、床全面変えることになった」「シロアリ被害が隠れていて、アレルギーがあるため住めない」というような様々な理由で、買ったあとに手放すケースも出てきてしまいます。

そうすると、空き家の権利を移転しただけで、空き家がなくなったことにはなりません。人が住んで初めて当社としては空き家が減ったと考えているからです。

 

まとめ

 

媒介報酬の上限が事実上あがったからといっても、安易に売却すると建物が空き家のままということになりかねません。専門的な知識を持っていたり、解決策をもっている業者に売却を任せることで、安心して資産の整理や、空き家の処分ができますので、そういった業者に査定依頼等をおこなうことをおすすめします。